UN Women事務局長ステートメント:国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づくパリ協定採択に関して

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づくパリ協定採択に関するプムズィレ・ムランボ=ヌクカ国連事務次長・UN Women事務局長ステートメント

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12月12日に、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の議会によって採択されたパリ協定は、歴史的成果物であり、待望されていた「気候変動の脅威へのグローバルな対応を強化する」ための合意となりました。女性と女児は、様々な形で気候変動の影響を受けています。水やエネルギーへのアクセスや利用、食糧の安全保障、生活、そして教育、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、健康的な生活への機会に対し、致命的な形で気候変動による影響を受けることもあるのです。

パリ協定とCOP21の成果物は、気候変動の取組みに必要不可欠なものとして認識されている多くの重要な領域をカバーしており、また、すべての国々に対しその条項を遵守するよう義務付けしています。:軽減―気温上昇を摂氏2度に食い止めるよう温室効果ガスの排出量を迅速に削減すること;地球温暖化防止のための活動を構成する透明性のあるシステムとグローバルな進捗の評価;適応―各国による気候変動の影響に対処するための能力強化;そして、金融、技術開発と技術移転、能力開発を含む支援などが挙げられます。

UN Womenは、ジェンダーの視点が含まれていなかった1992年の気候変動枠組条約以降における進展を歓迎します。COP21が開催される前から、多くの期待が寄せられていました。それは、2014年に採択された「ジェンダーに関するリマ作業計画」や、ジェンダーに配慮することを指導原理のひとつとする「緑の気候基金」、そして5年前の発足以来、気候変動枠組条約のプロセスにおける成果にジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関する考慮を入れるためのUN Womenの取り組みなど、すでに採択されているジェンダーに特化した言及や、国連気候変動枠組条約の参加国による50以上の決定から見て取ることができます。

パリ協定は大躍進を意味します。 前文の中で、参加国が気候変動に立ち向かう時、人権およびジェンダー平等と女性のエンパワーメントに対する義務を尊重し、促進し、そして考慮することを謳っています。気候に関する条約としては初となります。また、協定はジェンダーに考慮した適応行動と能力開発を求めています。さらに、協定の目的において、気候変動の脅威に対する世界の対応は、持続可能な開発と貧困を根絶する取組みの中で行われる、と明記されています。本協定は、第3回開発資金会議のアディスアベバ行動目標と持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)に続くものです。2030アジェンダは、「人と地球、繁栄」を全体の枠組みとしており、目標13の「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」や、目標5の「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」を有し、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関連する目標がアジェンダ全体に組み込まれています。

しかしながら、パリ協定では、気候変動の社会的、経済的、環境的な側面を認識しているものの、変革をもたらす要素が欠けています。女性は、金融や技術開発、技術移転の鍵となる部門にて、革新や変革を起こす主体としての貢献を明確に認めてもらうことを、また、気候問題の活動のモニタリングにおいてジェンダーに配慮した形で行うことを期待していました。

現在、世界の女性は、これらの欠如がジェンダーに配慮した、確固たる気候問題の活動を阻害しないことを期待しています。われわれは締約国に対し、気候問題の活動を通じてジェンダー平等と女性のエンパワーメントという中心的なコミットメントを果たすため、今から野心的にパリ協定の履行を進めるように求めています。また、2030アジェンダが主張する、レジリエンス(強靭)の鍵であり支援者としての女性、気候問題の活動から恩恵を受け、その活動を可能とする、変化の主体としての女性、そして、創造的で、起業家精神を持ち、多様な課題への問題解決能力を有する女性、また、回復力のある未来と持続可能な地球への投資における重要なパートナーとしての女性といった、力強い立場に女性を位置づけるよう求めています。

UN Womenは、気候問題の解決に際し、継続して女性をその最先端に位置づけるために、COP21において2つのグローバル・プログラムを開始しました。「持続可能なエネルギーへのアクセスとそれに関する女性の起業」、そして「機構に対してレジリエント(強じんな)農業を通じた女性のエンパワーメント」です。これらは気候変動の緩和と調整に、概念的かつ実践的に関係し、女性と女児を経済的な主体とするための能力をも拡大させます。

アカウンタビリティは今まで以上に重要です。UN Womenは、各国が協定の目的を達成するための国ごとに決められた貢献を支援するため、また、現在から本協定が効力を発する2020年まで、およびそれ以降の国家行動計画を支援するために各国政府と引き続き協力することにコミットしています。UN Womenは、他のすべての関係者とともに、ひとつの国連として、パリ協定の履行、また女性のニーズが考慮され、気候変動に関する政策やファイナンス、対応のすべての面において女性の積極的な参加が行われるように尽力していきます。