「改革しないことで生じるコストこそ、許してはいけません」

11月25日の女性に対する暴力撤廃の国際デーに寄せた、プムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長のステートメント

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女性と女児の能力を正当に評価しリーダーシップを認めるような社会から女性と女児が恩恵を受けながら、分かち合い、男性と男児と並んで、平和に活躍し成功できるような世界を実現するために私たちは行動します。女性と女児に対する暴力は、個人および社会に絶望的な影響をもたらします。

暴力の被害に遭った女性と女児は尊厳を失い、恐怖と痛みに苦しみ、最悪の場合、命を落とします。暴力は、私たち皆が持つべき自由を深く侵害します。家で安全に過ごす権利や、街を安全に歩く権利、学校へ通う権利、仕事をする権利、市場へ行く権利、そして映画を観に行く権利さえ侵害します。加害者が処罰され、被害者が救済を受け、受けた傷を癒すためにケアや支援を受けることは、すべて当たり前であるべきです。

しかし、多くの国では未だに法整備が不十分で、警察の関心は低く、シェルターや医療ケア、あらゆる支援は利用できる状態になく、刑事司法制度へアクセスできなかったり、利用が高額であったり、司法そのものが女性に対して偏見を持っていて、男性加害者を優遇することがあります。これらの要素を改革するにはコストがかかります。しかし、改革しないことで生じるコストこそ、許してはいけません。

専門家たちは皆、女性と女児に対する暴力を撤廃することで生じる利益は、撤廃に必要な投資をずっと上回ると認識しています。比較的小規模な投資でも、期間と目標が明確であれば、女性と女児、そして彼女たちの所属するコミュニティに大きな利益をもたらすことが分かっています。例えば東ティモール民主共和国では、小規模かつとても効果的な3年間プログラムを実施し、暴力の被害に遭った女性へ基礎サービスを一式、最低限のレベルで提供しましたが、このプログラムは、東ティモール共和国の2015年の国内総生産(GDP)全体のたった1パーセントほどのコストにおさまったものの、女性の健康と福祉に重大な影響をもたらしました。また、パプアニューギニアでは、市場インフラの実質的な変革や、ビジネス研修の実施、そしてキャッシュレス決済の整備が、同国の市場における女性ステークホルダーの環境と将来そして自信を変革しました。ウガンダでは、女性と男性、宗教的および共同体のリーダーが一堂に会すコミュニティ・プログラムを実施し、社会規範を変え、家庭内暴力が52%削減するという結果をもたらしました。

こうした功績は、私たちが前進できる実質的な方法に光をあてています。私たちは、女性と女児に対する暴力を起こし悪化させている、社会の根底に開示する不平等と偏見に取り組むことができます。私たちは、防止策を強化して、適切なサービスを増やすことができます。私たちは、女性と女児に対する暴力の件数を減らし、終止符を打つことができます。そのためには、国内的および国際的な規模でのコミットメントと投資が必要です。

暴力が社会に根付いているということは、暴力の根絶は社会全体が責任を持つ仕事であるということです。文化を変えるということは、スポーツやアート、ビジネス、学術界、そして信頼というチャンネルを活用して、男性や男児、宗教的な組織や若者などの仲間と関係を構築し、説得し、巻き込むということです。

持続可能な開発のための2030アジェンダは、暴力を撤廃するためのツールを私たちに与えてくれました。その大胆な目標を2030年までに実現するためには、革新的なソリューションと、政府や海外の開発機関、民間、慈善団体、個人を含むすべてのリソースから資金を調達するための新しいパートナーシップの編成が必要です。女性に対する暴力撤廃の国際デーの今日、私たちは、この国際的な合意を得た国際的なアジェンダを再度胸に刻み、両者の達成は切り離せないものであると認識し、達成に取り組みことを再び表明します。