丸田容子UN Women政策分析官が、石川県立金沢泉丘高等学校の高校生を対象に講演
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2016年10月4日(火)、UN Womenニューヨーク本部で勤務している丸田容子UN Women政策分析官が、石川県立金沢泉丘高等学校の学生の皆様41名を対象に講演を行いました。
丸田分析官は、イギリスの大学院で国際人権法を学んだ後、カンボジアのUNICEF(国連児童基金)事務所で、子ども達を人身売買などのあらゆる危険から保護する業務に従事しました。その後、外務省人権人道課及び永田町での政治・外交分野における勤務を経て、UN Womenキルギスタン・オシュ事務所でジェンダー権利専門官として勤務しました。現在は、UN Womenのニューヨーク本部で、女性に対する暴力をなくすための国際的な政策を作成する政策分析官として勤務しています。
石川県立金沢泉丘高等学校は、文科省が定めるスーパーグローバルハイスクールとして国際教育に力を入れており、学生の方々は日頃から国内外で国際交流をし、国際問題について熱心に学んでいます。
講演では、国連広報局(DPI)アウトリーチ部で勤務しているヒーマン・イン・美奈子広報官より、国連およびDPIの役割とシステムに関して話があった後、丸田分析官よりUN Womenの活動内容の紹介がありました。性とジェンダーの定義の違いや、世界の女性の3人に1人は暴力の被害者であり、1日1.25ドルで暮らす貧困層の70%は女性であるという厳しい現状など、UN Womenの目的と活動を理解するために欠かせない事項についてレクチャーがありました。UN Womenの具体的な優先的活動領域の紹介に加えて、UNiTE女性に対する暴力撤廃キャンペーンや女性に対する暴力に関するグローバルデータベース、エマ・ワトソンUN Women親善大使のスピーチで有名なHeForSheキャンペーンなどのジェンダー平等への取り組みについても話がありました。日本におけるジェンダー問題としては、日本における女性の政治参加の低さについて指摘があり、学生の皆様からは「知らなかった」「驚いた」という反応がありました。また、女性差別の意識が根強い国や地域では、宗教的なリーダーへの働きかけが重要であるということを、丸田分析官自身が経験した具体的なエピソードと共に共有しました。
参加者には、国連職員のような、国際的に活躍が求められる仕事に興味を持つ学生も多いことから、丸田分析官は、将来国際的に活躍するために、高校生として今しておくべきこととして、言語取得、新聞等を通じた情報収集、ボランティアの3つを挙げました。
参加した学生の皆様からは、講演から多くの学びを得たことが伝わってくる感想が寄せられました(以下、複数の感想文から抜粋):
・女性が高等教育を受けられないということは特に発展途上国で起きているという認識があり、私はジェンダー平等の問題は日本人にはそれほど関係がないだろうと思っていましたが、痴漢や考え方の面での性差別もジェンダー平等の問題の中に入ると知り、私たちにも関係があると気づかされました。
・女性の差別をなくし、男女間の平等を達成することは、自分が思っていたものよりはるかに難しいことなのだとわかった。単にそのことに関する法律を整備し、それを執行さえすればある程度は目的が達成できると思っていたけが、それだけでは現地の人々は外国人からの押し付けであると感じてしまう。そのため、まず地域の首長とコミュニケーションをとり、その後、その人と共に地域の有力者、例えば宗教的な権力者などのもとへ行き、考えに賛同を得るという方法をとる必要があるとわかった。
・一見すると性差別という一つの問題だが、実際は貧困や教育、経済など様々な分野に関連した問題であり、解決のためには、立場を越えた機関同士の連携が不可欠であるとわかった。
・今回の講義を受けて、女性問題に特化したUN Womenは、僕たちの住む日本にも存在するものから自分にとっては程遠いものまで、多種多様なジェンダー差別に対して、国連職員としての視点だけでなく「現地の人にとってどうなのか」という視点から解決策を考えているのだな、と思った。やはり丸田さんの仰っていた通り、当事者のことを考えない限りはお互いの信頼も生まれず、コミュニケーションもとれないのだと思う。