【日本政府支援プロジェクト】人身取引に取り組む:ミャンマー

ミャンマーは2005年に人身取引対策法を制定したものの、人身取引は紛争の影響を受けている地域、とりわけ中国との国境付近にある北部の地域で依然として横行しています。UN Womenのプログラムは、ローカル・パートナーであるHtoi Gender and Development Foundationを支援することによって、法的支援やサバイバーたちに対する職業訓練を提供しています。

日付: 2019年1月7日

現在24歳のカン・ヌさんは以前、彼女の住むミャンマーの地方の村で騙され、代理出産するために中国へ送られるという人身取引に遭いました。Photo: UN Women/ Stuart Mannion

 

「ブローカー(斡旋業者)は女性に薬を与え、中国人男性に子どもを提供するために、女性に精子を注射します」カン・ヌさんは説明します。そして、子どもが生まれると、100万チャット(約7万円)が受け取れるといいます。「彼女らは、母乳を与えることも、子どもに名前を与えることも許してもらえませんでした。」

カン・ヌさんは何とかして家族に連絡を取ることができ、家族が彼女の状況を牧師や村のリーダーに伝えました。彼女の村のブローカーは逮捕されましたが、彼女の居場所を公表しませんでした。カン・ヌさんは彼女のいた建物に40人もの女性がいたことを覚えています。彼女たちも同じ16歳くらいでした。

そこで彼女はムン・パンさんに出会いました。ムン・パンさんがミャンマー北部にあるナウン・ムンという村から連れてこられたのは、わずか18歳の頃でした。

ビルマ人の人身取引サバイバーであるムン・パンさんは、肉工場または電話製作工場で働くことになると伝えられていました。Photo: UN Women/ Stuart Mannion

 

「私が到着したとき、誰ひとり私に何の仕事をするか教えてくれませんでした」とムン・パンさんは述べます。「ブローカーたちは、『何もしなくていいから良い仕事だよ』 とだけ私に伝えました。ブローカーたちは私に薬や注射をするばかりで、それが何のためかは教えてくれませんでした。」

カン・ヌさんは、女性たちが抵抗しようとすると殴られたり虐められたりする、と言います。ムン・パンさんの部屋にいる女性たちは、逃げようとすると虐殺され、その遺体も家族のもとへは戻らない(カチン族の文化では重要)ことを伝えました。

最終的に、2人の家族は彼女らを取り戻すための身代金を支払うことができました。カン・ヌさんの両親は、1000万チャットの「違約金」を支払うために、隣人からお金を借りる必要がありました。

帰国後、カン・ヌさんは当局に、中国で出会った女の子たちの名前を書いたリストを渡しました。そのほとんどは、彼女の村から来た子たちでした。ムン・パンさんを含めた5人が救助されました。

Htoiの弁護士Sar Li Htwiさんは、人身取引やレイプ、家庭内暴力(DV)の案件を中心に携わっています。Photo: UN Women/ Stuart Mannion

UN Womenの現地パートナーであるHtoi Gender and Development Foundationは救助活動や訴訟における法的支援を行っています。

「多くの場合、現地ブローカーは親戚や友達です。」Htoiの弁護士Sar Li Htwiさんは説明します。

彼女は、女性が出産後に他の家族に転売されたケースや、家族が息子の誕生を望んでいたために、出産後、女児が殺されたケースを聞いたことがあるといいます。10件中8件は、女性が花嫁として取引され、また残り20%は子供を産むために取引されると彼女は言います。

ミャンマーは、2004年に人身取引対策法の制定が合意され、2005年に制定されました。しかし、その執行手続きが明らかではなく、人身取引対策警察も予算はわずか、さらに現存する法律は「弱く、これでは十分に実施できない」とLi Htwiさんは述べます。

Htoiは救助された女性と女児に法的支援、心理社会的カウンセリング、サービスへの紹介、経済力回復のための技能訓練や人身取引の啓発トレーニングを提供しています。20184月から3日間のトレーニング・ワークショップが開催され、13の町で約165人の参加者が8回に渡り受講しました。さらに、メッセージを地域に広めるため、訓練を受けている人々の中から35人の地域活動員が認定され、地域に広めるための訓練や、ポスターやチラシなどのツールが提供されました。

Htoi の代表であるナン・プさんは、宗教指導者として出発し、その後ソーシャル・ワーカー、活動家そして女性の権利擁護者として活動しています。UN Women/Stuart Mannion


これは、UN Womenの支援や日本政府の資金援助を受けて、女性のエンパワーメントおよび生計確立トレーニングを通して、人身取引の影響を防止および軽減するためのプロジェクトの一環です。

 

「カチン族の女性として、私はカチン族の女性の平等な権利のために活動しようと奮い立たされました」Htoiの代表であるナン・プさんは述べます。Htoiはサバイバー一人ひとりを繋げ、支援するための対等なメンターグループも組織しています。

「私は、最初帰国したとき、恥ずかしくて人に顔を見せるのが嫌でした。」カン・ヌさんは語ります。「しかし、今はHtoiのピアグループで他の人身取引サバイバーである女性たちと出会ってから、私は独りじゃないんだと感じることができました。また、同じ経験をし、克服した女性たちから勇気をもらっています。」

Hka Shi村のWaingmaw町でナマズの養殖訓練に参加している女性は、子どもの世話をしながら家でできることに感謝していると語ります。 Photo: UN Women/Stuart Mannion

 

このプログラムでは、サバイバーや人身取引の被害者になりそうな人々が学校に再入学したり、職業訓練プログラムに参加したりすることで、製織や縫製、手工業などの伝統的な技術や、養漁業、マッシュルームや蚕、オーガニックコットンなどの高価な収穫物の栽培方法など新しい技術を学べます。

 

サバイバーの収入機会の欠如は、彼女らが再び人身取引に巻き込まれたり、搾取に遭うリスクに晒されやすくなります。そのため、本プログラムでは、女性が起業家や商店事業者として自分の店やビジネスを設置し運営できるようエンパワーメントしています。

ミッチーナ―市にあるAyeyar区から逃れてきた国内避難民のカウン・チェさん(35歳)は、もうすぐで縫製クラスを修了し、UN Womenが支援するHtoiより縫製機器を受け取る予定です。 Photo: UN Women/Stuart Mannion

 

カン・ヌさんは現在、縫製機器を持っており、仕立て屋を設立するための更なる開業基金を模索しています。

ミッチーナー市Lum Ward区。過去に中国の携帯電話工場で搾取を受けていたJa Doi Lahpahiさん(27歳)は、織物や商売の始め方、マーケティングやフィナンシャル・マネジメントを学んでいます。Photo: UN Women/Stuart Mannion

 

一年足らずで、このプログラムは125人の人身取引サバイバーや、人身取引の危険に晒されている地域の女性、そして国内避難民キャンプや村の女性たちを訓練してきました。フィナンシャル・マネジメントやマーケティング・スキルの提供、訓練センターや市場の活性化のための受益者との関係づくりをするほか、訓練が完了した際には、ビジネス開業助成金を付与しています。

 

 

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日本政府が協力しているプロジェクトについて詳しくはこちら(英語)。