UN Women事務局長:「女性の理系キャリア促進のためのG7イニシアティブ(WINDS: UN Women's Initiative in Developing STEM Career)という風に乗ってはばたきましょう」

日付: 2017年1月24日

※下記は、2016年12月13日、WAW!2016開催の折に行われたG7・WINDS特別イベント「STEM分野で輝く女性の未来」において、プムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長が行った基調講演の全文です。

再び来日することができ、大変嬉しく思います。この度のG7・WINDS特別イベント「STEM分野で輝く女性の未来」の開催は、G7議長国として日本がもたらした素晴らしい成果であり、日本に感謝申し上げます。また、本イベントの開催は、元来昨年のG7エルマウサミットで推進したものであることから、昨年のG7議長国であるドイツにも御礼申し上げます。

G7のような主要国のグループが、自国において、そして国境を越えて、女性と女児の参画及びエンパワーメントという課題に取り組むことは、極めて重要です。本質的なキャパシティ・ビルディングに関する詳細な行動を反映していることから、G7のジェンダー主流化とも言えるでしょう。私たちにとって、ここが腕の見せ所です。

教育及び就業におけるジェンダー格差とジェンダーに基づく偏見の撤廃は重要です。これらは私たちが取り組む構造的な問題のうちの一つであり、私たちが望むよりももっと低い地位に、女性と女児を取り残し続けています。

これらの障壁は、貧困の女性化の持続と、暴力的な関係に囚われる恐れのある女性と女児のエンパワーメントを後退させていることから、撤廃しなくてはなりません。また、女性と女児が共有された繁栄の恩恵を得る機会をも奪います。このフォーラムの開催は、持続可能な開発のための2030アジェンダの目標とターゲット達成のために、誰も置き去りにしないことを保障する行動なのです。

本イベントでは、アンゲラ・メルケル独首相のリーダーシップのもとでグローバルなジェンダー平等達成の障壁について議論した、G7 Forum for Dialogue with Women in Berlinに基づいた議論を行います。そこでは、STEM分野の女児教育や、デジタル教育、就学を中断した女児たちへの機会の付与、そして女性の経済的エンパワーメント等について議論しました。今年もG7がこうした分野に強い関心を寄せ、より強固なリーダーシップを築いていることを、嬉しく思います。

昨年のドイツでのG7イベントで、多様な分野の女性リーダーたちと出会いました。女児へのロールモデルの提示の重要性について議論が行われました。ロールモデルを提示することにより、女性と女児が極めて少ないキャリアにおいても、若い女性が尊敬できる対象が生まれるからです。これらの繋がりを確実に促進する戦略的なメカニズムが必要です。本イベントで、こうした具体的なアクションが議論されることを期待します。

STEM分野における女性が不足しているため、「女性の理系キャリア促進のためのイニシアティブ(WINDS)」は重要です。UN Womenは統計に基づいて、この男女格差をチャンスと見なしています。なぜなら、STEM産業で活躍する可能性を秘めた女性と女児の供給は多くあり、この格差は是正可能な課題であるからです。また、持続可能な開発目標(SDGs)が描く世界をつくり、広範な経済の問題に取り組むためにも、STEM産業は必要です。

2016年、潘基文国連事務総長が創設した「女性の経済的エンパワーメントに関するハイレベルパネル(HLP)」は報告書を発表しました。同報告書は、根本的な課題の一つとして ― おそらく特効薬に最も近いものとして ― 女児教育の重要性を挙げており、また、質が高く手頃な公共教育など、女性の経済的エンパワーメントを持続させるために必要な介入にも言及しています。

同報告書においてHLPは、家庭外で雇用されている大多数の女性がインフォーマル・セクターで働いているという事実を述べました。インフォーマル・セクターは、社会保障が不足しており、多くの女性を貧困状態に追いやることから、教育を必要としているセクターでもあります。

例えばインドでは1億2千万人の女性がインフォーマル・セクターで就労しているため、軽視できない巨大なセクターとなってます。メキシコでは、家庭外で働く女性の60%がインフォーマル・セクターで働いています。女性たちをインフォーマル・セクターに留まらせる根本的な要素は教育です。教育の欠如を埋めることで、女性たちに前進する機会を与えます。

また、HLPは、女性の経済活動への構造的な障壁として、デジタル及び金融領域におけるインクルージョンに着目しました。ここでもSTEM分野の教育が課題です。女性の起業家精神、女性のビジネスが失敗する原因、そして労働効率を向上させる洗練されたメカニズム及び介入が欠落していることにも着目しました。これらの問いもまた、STEM分野と関連する訓練の問題になってきます。

私たちはいくつかの機会を目にしています。本イベントでの議論が、重要で容易に特定できる格差に対処する力となることを願っています。

格差の規模を表わすいくつかの統計を見てみましょう:テクノロジー系企業トップ100社のCEOsに占める女性はたったの6%です;ヨーロッパで開発されたアプリで女性が開発したものはたったの9%です:テクノロジー業界の上級管理職に占める女性の割合はたったの10~15%です;エネルギー産業の仕事のうち女性が就いているものはたったの20%、しかも非技術系のポジションです;推定90%の電子機器は男性が作成しています。

サハラ以南アフリカが清潔な水と衛生へのアクセス向上を実現するためには、推計250万人のエンジニアと技術者が必要です。サハラ以南アフリカだけで学校を辞める女児の数及び児童婚あるいは早期結婚をする女児の数を懸念するならば、教育は女児たちをこれらの慣習から保護する一つの方法であると認識すべきです。教育は、STEM分野を包摂することで、女児たち本人、そして彼女たちの家族と社会に利益をもたらします。

これは素晴らしいことです。解決策のある問題のうちの一つです。G7の連携があれば、多くの国々と研修機関に働きかけ、私たちが大きく人生を変革できる沢山の女児たちに働きかける機会が生まれます。

懸念すべき働きとして挙げられるのが、私たち全員の取り組みにも関わらず、男性と女性の間で拡大するデジタル・ディバイドです。昨年、国連ブロードバンド委員会において、国際電子通信連合(ITU)は、男女間のデジタル格差が拡大していることを報告書で発表しました。

デジタル経済がG20だけで4兆2千億万ドルの価値がある現状と、発展途上国における気候変動およびクリーンテクノロジー産業に6兆4千億万ドルの価値があるという推計にも関わらず、格差は拡大の一途を辿っています。ICTスキルが欠落している人口は2億人おり、女性と女児を適切に訓練する機会の少なさをも物語っています。

極めて年齢の若い段階で、女児たちにこのような機会を与える必要があると私は考えます。キャリアパスは異なる道にも存在すると彼女たちに教えること、そして女児たちのモチベーションを向上させ質の高い教育を提供するという重要な役割を担う教師に投資することで、必要とされている、十分に教育を受けた女児たちを増やすことができます。

また、メディアが描写するステレオタイプ(固定観念)も、女児たちの、自分の能力に対する考え方や将来の設計図に大きく影響することから、変革することが重要です。

北京宣言及び行動綱領を採択から20年経過して評価を行った結果、各国の足を引っ張ったのはたった一つの要素 - ステレオタイプでした。法整備が整っており、ジェンダー平等が手厚く擁護されている国々においても、ほぼ全ての領域で、ステレオタイプという問題は根強く残っています。有効な法案が成立したことから生まれる利益を奪ってしまいます。

STEM分野においても、ステレオタイプの問題は根強く存在します。

「メディアにおけるジェンダー」ジーナ・デイビス研究所の報告書は、STEM分野を取り上げた映画に登場した人物のうち、88.4%は男性、11.6%は女性で、男性の登場人物は女性の登場人物より2倍台詞があったと指摘しました。女性は言いたいことが沢山あります。そうした描写は現実を反映していないと言えます。

ニュースや映画において、STEM分野でロールモデルとなる女性を増やし、プロフェッショナルなサービスを提供する最前線に立っている教師や職員の描写の仕方を変えることで、多くの若い女児たちが憧れるようなパイプライン及び鏡をつくることができます。

それはまた、無意識の偏見を明らかにすることと、女児たちがSTEM分野に取り組むことを否定したり妨げたりすることの影響を認識していない教育者の意識向上にもつながります。

セッションを終える際に、継続してフォロ―でき、共に協力していけるような、極めて明確な行動計画が策定されることを期待しています。そして、再び会合する際は、共に進捗をはかり、前進した部分やこれを契機に始まったイニシアティブが各国でどれほどあるかなど振り返りたいと思います。

STEM分野の取り組みには、G7以外の国々も関心を持っていると言えます。

例えば、私が来日前に訪問していたインドでも、民間セクターとSTEMに関して協議しました。Robotixというロボット教育専門の企業の「インディアン・ガールズ・コード (Indians Girls Code)」という無料プログラムは、信じられないほどの人数の女児から人気を集めているそうです。インドの女児たち、特に恵まれない女児たちは、技術のビジネス的側面に馴染むことができます。

アメリカ合衆国にも「ガールズ・フ―・コード(Girls Who Code)」という同様のプログラムがあります。私たちは世界に貢献し、最も恵まれない女児たちも含め、世界の片隅に住む女児たちに働きかけることができます。こうしたプログラムにかかる費用は、結果的な利益と比較すると、取るに足らないものです。

2012年のエルセビア基金の調査によると、STEM分野におけるジェンダー平等でブラジルは首位に立っています。これは、先進的な社会政策によるものです。母親をサポートする社会政策と女児を支援する社会政策が相互に関係しており、教育課程に残るよう女児たちは促され、そうしたパイプラインが教育課程の終わりまで繫がるようになっています。

政府と民間セクターの連携と同様に、政府による投資も重要です。実施可能な取り組みが存在しないか、この議論で探ることができるよう期待しています。

UN Womenは、沢山の皆さま方と協力したいと思っています。この分野に関しても、我々には今後強化していくフラッグシップ・プログラムがあります。

UN Womenはバーチャル・スキルズ・スクールを運営しており、女児たちに二度目の就学の機会を付与し、早期妊娠やそのほかの不運によって、まだ20代なのに人生を諦めてしまわないようにしています。就学支援教育を通じて学校に復帰することで、女児たちが人生を見直し、孤立せずその他大勢の一部となれることを保障します。

G7WINDSイニシアティブという風に乗って、私たちだけがはばたくのではなく、変革のための正しいツールを下さいと祈り願っている世界中の沢山の女児たちと共にはばたけることを願っています。