WAW!2016 プムズィレ・ムランボ=ヌクカ事務局長挨拶「UN Womenは、女性と女児の人生をより良いものにするために、皆さんと協力する準備が出来ています」

日付: 2016年12月13日

Tokyo

2016年12月13日・14日に開催された国際女性会議WAW! (WAW!2016)の公開フォーラムにおいてプムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長が行った、スピーチの全文を紹介致します。

皆さま、国際女性会議WAW!にご招待頂き誠にありがとうございます。ご臨席の安倍昭恵首相夫人が、今日ここに参加している数多くの女性のイニシアチブをご支援下さっていること、また、安倍総理が私たちをご招待下さり、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを力強く牽引し、UN WomenのHeForSheムーブメントにおいてジェンダー平等のために立ち上がる男性リーダーの1人でおられることに感謝申し上げます。日本はUN Womenにとって最も緊密なパートナーの1つであり、私たちは日本の政治、財政及び政策対話面でのご支援に大変感謝しております。日本による財政支援により、紛争地域や生活手段を必要としているコミュニティー、若い世代が教育やトレーニングへのアクセスを必要としている場所の何千という女性達にUN Womenが働きかけることが可能になりました。

安倍総理はWAW!2016のスピーチにおいて、持続可能な開発目標(SDGs)の中でもジェンダー平等を目指す“目標5”を強調されました。スピーチはまた、「女性の経済的エンパワーメントに関するハイレベルパネル」(HLP)で纏められた提案についても言及しています。この提案のうちの1つは、インフォーマルセクターの女性に関するものです。なぜなら多くの国で、仕事に就いている女性の80%はインフォーマルセクターで働いているからです。総理は課題として、民間部門にインセンティブを与えて、女性を経済的リーダーシップに結びつける事についても言及されました。女性が過小評価されていること、そしてこの問題に取組むことの必要性は、SDGsの目標5およびHLPの提案に含まれています。総理はまた、女性への無報酬ケア労働の重荷、特に子供の世話を担う負担を軽くするために支援を行うことの必要性についても触れられました。これもまた、目標5とHLPの提案の1つです。もし日本がこのように進んで行けば、持続可能な開発目標を力強く実現する国の1つとなるでしょう;皆さんが、リーダーボードのトップになられることを願っています。

総理の個人的なコミットメントに加えて、日本は名古屋大学が、学長がインパクト・チャンピオンである10大学の1つであることを通じて、HeForSheムーブメントのパートナーでもあります。名古屋大学のコミットメントは、ジェンダー平等の研究を専門とする研究センターをつくること、そしてその施設を世界中の研究者が使えるようにすることです。これらが、本日発表されたあらゆる取組みとともにこれから日本で起こる進歩の、基礎を築くことの助けになるだろうと確信しています。また、このセンターの恩恵を受ける他国を通しても基礎を築いて行けることを願っています。

今日、私たちは女性のSTEMキャリアへの参画の課題に関して話し合いました。私たちは、女性がテクノロジー企業で活躍するようになるまでに出会う機会や可能性、そして障壁を見つめ、どうしたら科学を通じて生活をより良くするための変化をもたらせるかということを考えました。今日、私たちは、テクノロジー企業の代表を務める世界で非常に数少ない女性の1人、インスタグラム社のCOOマーニー・レヴィーン氏の話を聞きましたが、彼女は職場のリーダーであるだけでなく、‘ジェンダーに基づく暴力に反対する16日間’および‘世界をオレンジ色に’キャンペーンに、会社が積極的に参加するよう導きました。この事は、女性を責任ある立場に置くと、彼女達は会社の収益を達成するのみならず、社会を変革するより大きな課題に取り組むということを私たちに示しています。

女性に対する暴力は、私達がどういう仕事をしているかに関係なく、全員にとって深刻な問題です。なぜならこれは依然として現代における最大の課題の1つだからです。3人に1人の女性が生涯で暴力に直面します。女性に対する暴力は、ジェンダー不平等の最も非人間的な形態のものです。これは、高い許容度のある社会、すなわち加害者が罪を追及されず、攻撃が繰り返され、法の執行者による措置が欠落する可能性などが高い社会で起こる犯罪です。

女性は、家庭内で身近な人による暴力の標的となり、またそれはしばしば子どもの目の前で起きるので、そのような暴力を見て育った子どもが将来加害者になる可能性もあります。また暴力を見て育った女児は、将来自分も暴力を受けるかもしれないと考え、それを普通の事だと思うようになります。さらに紛争地域の女性は、対立する双方の当事者からの暴力に晒されます。女性と女児は学校や大学構内においても、教育者や同級生からの暴力を受けます。スポーツの場において、コーチやスポーツ仲間から暴力を受けます。公園など公共の場で、集団暴行などの被害を受けます。職場で同僚から暴力を受けます。彼女達は苦しめられる上、何の救済手段も用意されていないことがあります。必要なインフラや衛生的な水が家の中に無い国では、女性は川に水を汲みに行く間に暴力に晒されます。そして女性は、彼女達を守るはずである国連平和維持軍からも暴力を受けます。

WHOはこのような暴力を、世界的に蔓延している、公衆衛生の危機であると言います。私達が、世界の女性に対する暴力の度合を測るときに使用するデータの多くは、WHOによって作成されています。このデータとは、看護師や医者、歯医者、整形外科センター、精神保健士、緊急・トラウマ部局などから集められたデータです。数え切れないほど多くの、悲痛なケースが報告されています。ジェンダー平等について話し合う時、私たちそれぞれがどの分野の人かということは関係ありません。これは克服しなければいけない1つの課題であり、一緒に打ち破らなければいけないからです。教育と女性の経済的エンパワーメントは、まさに今回の会議の議題ですが、現状を変えるためにとても重要です。そして、これらの行動について話し合い考える中で、皆さんに女性に対する暴力撤廃というチャレンジへと点を繋げていくことをお願いします。

持続可能な開発目標は、ジェンダー平等に取り組む私たちの行動が、持続的な変化を生み出すことを確実にする重要なアクションと共に、ジェンダー平等にグローバルに、かつ普遍的なアプローチで取り組む道筋を示してくれました。目標5が具体的に取り組む変化のうちの1つは、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃です。今の世界では、まだ150か国以上が女性を差別する1つかそれ以上の法を保持しています。女性を差別する法制度を備えている国を2030年までになくす事、そして2020年までには、そのための前進を評価できるようになっている必要があります。目標5のもとで、私たちは女性に対する差別を持続させている差別的な規範や態度、ステレオタイプに対処しなければいけません。多くの国で、ジェンダー平等に向けた法を通過させていますが、そのような良い法の成立と同時に、それらを過小評価しがちな社会規範や態度、ステレオタイプに対処するため、私たちはイニシアチブを取る必要があります。

私たちに求められている別の重要な介入は、無報酬ケア労働問題への対処です。本日、安倍総理は育児休暇と育児について言及されました。80%以上の男性と女性が、生涯の間に生物学上の親になります。母親であるがため、またはILOの言う「motherhood penalty (出産・育児による不利益)」のために、女性が彼女たち自身の生活を続けられないことは、女性の経済的エンパワーメントへの障壁の1つです。育児と育児休暇の課題に取り組むことは、世界中の何百万人もの女性にとって大きな変革をもたらすことになるでしょう。

持続可能な開発目標はまた、女性と女児に有害な影響を与える慣習にも注目しており、例えば、児童婚や女性器切除の撤廃などが挙げられます。児童婚では、女児の人生は開花さえする前に止まってしまいます。今日、7億人もの女児が、18歳になる前に結婚しています。これらの女児のうちの多くは、13歳になる前に結婚により人生が変わってしまいます。しかし、彼女たちに2度目のチャンスをあげることによって、人生を好転させることもできます。私たちが児童婚に強い意思を持って介入しなければ、2050年までに10億人の女児が子供のうちに結婚させられる危険性があります。これは、私たちの目の前で起きてはなりません。加盟国がこの問題に取り組むと同意したことは、女性の人生をより良いものへと変化させ、またその変化が続くよう私たちが行動する機会を与えてくれます。

もちろん、女性に対する暴力の撤廃は、開発目標の重点分野のうちの1つです。女性による代表及び参加は、同一労働への同一賃金といった特定のアクションを必要とするものですが、これも重点分野に含まれます。繰り返しますが、そのようなアクションを取るだけで、何百万人もの女性の人生が変わるのです。また、すべての経済において女性がピラミッドの底辺を形成していることを考慮すると、最低賃金の重要性も注目されるべきです。最低賃金を上げれば、何百万人もの貧しい労働者の人生のパターンを変えることが出来るのです。

開発目標はまた、女性の政治参加や、意思決定の場における女性の役割の重要性にも触れています。女性が意思決定に関わらなければ、それが例え善意に基づいたものであっても、女性に関わる、或いは女性のための決定が、男性に対して作用するようには女性に作用しない傾向にあります。世界経済フォーラムはジェンダー格差報告書の中で、もしも現状の軌道修正が行わなければ、男性と女性の平等な経済参画の実現までに170年もの年月がかかると見積もっています。繰り返しますが、これは、私たちが行動を起こさなければいけないということです。なぜなら変化をもたらすことの出来る行動が存在するからです。

ジェンダー平等における、リーダーシップの重要性を強調したいと思います。ジェンダー平等を目指す闘いが大抵は女性を担当する省庁に置き去りにされ、その省庁は予算が少なく課された大きな課題に取り組むことが出来ない、というような状況は容認出来ません。これらの省庁は、財政改革やマクロ経済の変化など社会に必要な広範な変化、それにより政策の実行や女性の経済への貢献度の認識を通じて女性の人生が改善される変化を起こすのに十分な力や権限を持っていません。だからこそ、国家元首が先頭に立ってジェンダー平等を指揮することが必須なのです。ですから私たちはWAW!に感謝し、また安倍総理が果たされている役割に感謝しています。必要な変化を実現する多くのリーダーが必要とされています。

スポーツは、教育同様、変革をもたらし、平等を推進するものです。日本での2020年オリンピック開催という、素晴らしい機会をお祝い申し上げます。世界中に、スポーツによって人生を変えることの出来る女性が存在しています。私たちはしかし、若い女性の多くが思春期にスポーツを止めてしまうという壁に直面しています。女児は、体の変化に伴い当惑し公の場に出たくないと思うようになるため、男児より49%高い確率で思春期にスポーツを止めてしまいます。こうして私たちは未来のチャンピオンを失ってしまいます。このため、私たちは”One Win Leads to Another(ひとつの勝利が次につながる)”というプログラムを導入し、これは国際オリンピック委員会にも受け入れられました。このプロジェクトはリオでスタートし、貧民街の女児にスポーツを続けるよう働きかけ、自信を築かせて、今では国際オリンピック委員会のレガシープログラムとなるまでに至りました。

オリンピックがここ日本で開かれる際には、1つの勝利が次の勝利へのきっかけとなり、日本だけでなく周辺国の、スポーツが得意なのに参加しなくなってしまう可能性のある女児が、スポーツを平等の促進や実現手段として捉えられるよう、日本と協力して働きかけていきたいと願っています。教育やスポーツの場面で女児を支援しエンパワーするには、偏見のない先生やコーチを持つことが重要です。コーチが女児を認めて支援するための投資、また、先生が障害や性的指向、その他いかなる理由でも女児を差別せず支援するための投資は、スポーツが教育と共に変革をもたらすものになるために重要なことです。

たとえ、女性に対する暴力が大きな挑戦であっても、女性の貧困が大きな課題であっても、私たちには問題を解決できる行動の実例があります。私たちはその規模を拡大し、実践し、パートナーとなることが出来ます。2030年までに、実質的な平等を実現することは可能です。私たちは、その変化を起こすことの出来る最初の世代なのです。しかし、それを実現するかどうか、決定し、変化を起こすかどうかは私たちの手―民間セクターや政府、学校などにおけるリーダー、そして家庭内のリーダーである親たちの手―に握られています。

ここ東京において、具体的かつ出身国に関係なく共に行動できるような活動を生み出せることを願っています。なぜなら持続可能な開発目標には、連携や協働のためのプラットフォームがあるからです。UN Womenは、全ての女性と女児の人生をより良いものにし、SDGsに謳われているビジョンを達成するため、皆さんと協力する準備が出来ています。特に、ピラミッドの底辺にいる女児と女性にとってこれらが達成されることが重要です。なぜなら、誰も取り残すことのないようにすべきだからです。有難うございました。