目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
持続可能な開発目標は、貧困や不平等、女性に対する暴力といった鍵となる課題に対処しながら、21世紀の流れに変革をもたらすよう努めるものです。
女性のエンパワーメントはこのための前提条件です。
女性は、SDGsのすべての分野において非常に重要な役割を担っており、多くのターゲットが女性の平等とエンパワーメントを目的、および解決策の一部と捉えています。目標5は専らジェンダー平等と女性のエンパワーメントを達成するために設けられたものであることから、独立したジェンダー目標として知られています。
世界中で女性の権利を保障するためには、大幅な法改正が必要です。2014年までに143カ国という記録的な数の国々が憲法において男女間の平等を保障している中、52の国は未だ取り組んでいません[i]。多くの国では、ジェンダー差別は今なお法的・社会規範の中に存在しているのです。
明らかなジェンダー格差は、経済的そして政治的な範囲においても見てとれます。ジェンダー平等に向けて今まで進歩が見られたところもあるものの、労働市場において、女性は男性と比べ世界平均で24% 低い収入を得ています[ii]。2015年8月時点で、女性の国会議員は全体のたった22%です。1995年の11.3%からわずかの増加です[iii]。
一方、女性に対する暴力は、その他の分野で称賛に値する進歩を遂げた国も含め、すべての国に蔓延しています。世界中で、35%の女性がパートナーを含む男性から身体的・性的暴力を受けた経験があると報告されています[iv]。ミレニアム開発目標には女性に対する暴力に関する記載がなかったことを受け、その指摘をする多くの人々の声にUN Womenも賛同しました。
女性はすべての分野において平等な権利を有しています。これは法制度全体に備わっているべきであり、クォータ制の導入といった積極的な方法を含む法の履行において守られるべきです。生活のすべてはジェンダー平等と関連しているため、ジェンダー差別が見受けられるときにはすぐにその根を刈り取る努力がなされなければなりません。
UN Womenはジェンダー平等に関するすべてのプログラムにおいて、女性と女児のエンパワーメントに取り組みます。女性の政治参画とリーダーシップ、そして経済的エンパワーメントは中心となる目標です。UN Womenはより多くの女性が票を得て政治家となるよう、また、投票に行けるようサポートしています。女性が抱える無償労働の負担を認識し、削減し、そして再配分する必要性を強調しつつ、女性がまっとうな仕事に就き、資産を蓄え、制度や公共政策に影響を与えるように支援も行っています。紛争予防や平和・安全保障を確保したりなど、人道的活動における女性の役割とリーダーシップも推進しています。また、女性に対する暴力の原因と結末に対する意識啓蒙を行い、その予防や対応へのさらなる努力を重ねながら、HIVと闘う女性の権利を確保し暴力の撤廃を提唱しています。さらに、政府が女性と女児のニーズを国家計画や予算編成に反映するように、HeForShe イニシアティブを含む活動を通して、男性や男児にジェンダー平等の支援者となるよう応援しています。
[i] UN Women Constitutional Database. 2014
[ii] UN Women (2015), Progress of the World’s Women 2015-2016: Transforming economies, realizing rights, Chapter 2.
[iii] Inter-Parliamentary Union (2015), Women in national parliaments.
[iv] World Health Organization (2013), Global and Regional Estimates of Violence against Women: Prevalence and health effects of intimate partner violence and non-partner sexual violence, p. 2.