プムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women(国連女性機関)事務局長が広告業界によせた公開状

プムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women(国連女性機関)事務局長が広告業界によせた公開状

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1年前、フランスのカンヌで、マーケティング業界と広告業界を代表する関係者達の声により、アンステレオタイプ・アライアンスが創設されました。アンステレオタイプ・アライアンスとは、広告やブランド主導のコンテンツを通じて世界を変える可能性のある、他に例のない業界の協同体です。 このアライアンスの特徴は、ステレオタイプを取り除き人間性を優先するために、競争ではなく協働をすると賛同した競合者達を集めている点です。

現時点でアライアンスには、世界最大の広告主、広告グループや業界リーダー、研究能力と専門知識を持つ世界的提唱者たちが参加しています。

アライアンスメンバーの調査によると、現在、広告における女性のわずか3%が意欲的またはリーダーの立場として、そして1%のみが問題解決者として描写される一方、広告において男性の60%以上が賢い、能力が高いと描写される傾向にあります。 消費者からの感想によると、女性と男性の両方がそのような描写を嫌うだけでなく、先進的で多次元的な登場人物を使用した広告の方がより多くの商品の販売につながりことはわかります。

私たちUN Women(国連女性機関)は、疑問を投げかけます。私たちが毎日画面や、雑誌、ポスターで目にする広告において、なぜ女性と男性は平等であり、女児は男児と同じように能力があり、人々は素晴らしい多様性があると表現されないのでしょうか。現実をそのまま描写するだけでは有害な文化的・社会的規範をそのまま継続させてしまいます。私たちは広告主たちに、私たちが目指すべき世界を表現することを求めます。

不平等が存在すれば、差別が存在します。 力の不均衡が存在すれば、暴力が存在します。 排除が存在すれば、あらゆる種類の貧困が存在するということを、私たちは知っています。私たちは世界中の何百万人もの女性と男性が、不安定な社会によってもたらされた深刻な害に対し抗議している姿を目の当たりにしています。 私たちはあなたと一緒にアンステレオタイプ・アライアンスを通して社会を変えるのです。

我々はAlibaba、ANA、ATT、Cannes Lions、Diageo、Facebook、Geena Davis Institute、Google、IPA、IPG、Johnson&Johnson、Mars、Mattel、Microsoft、P&G、The Female Quotien、Twitter、Unilever、WFA、WPPなどすでにこの大胆なイニシアチブに参加している企業を称賛します。 また、新たに加わったAdobe、Omnicom、Publicis Groupe、Vodafone、European Association of Communication Agencies、Boston Consulting Group、UNICEF、Free the Bid、Jess Weinerを暖かく歓迎します。

そしてこれははあなたへの招待状です。業界のリーダー、思想家や提唱者が参加しているこの連携に加わり、社会の変革のために責任を持って、姿が現れないまたは間違って描写されている姿を訂正し、平等性やお手本が不在な視覚的世界を再構築しましょう。

この国連旗の下で結束された専門家の同盟は、比類のない物資・資金と経験を、行動や態度に変化をもたらす事例を増やすためにメンバーと共有します。 この運動に参加することは、広告のジェンダー偏見を測るための新しい指標を共有する機会を得ることであり、ジェンダー格差に対処するために、職場のステレオタイプを無くす文化を促進する機会であり、イノベーション、最先端の研究、および実用的な解決策に貢献し、利益を得る機会でもあります。

この試みが成功すれば女性と女児に対する暴力、世代間の貧困、 平和構築プロセスからの女性の不在など、2030年までに国連が解決しようとしている主要な問題の根底にある女性と女児に対する無意識な偏見について、いよいよ取り組むことができます。 また、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを支援する法律の効果を強固にすることができます。 根底にある規範やステレオタイプに対処しないままに新たな法律が通過しても、望ましい効果を得ることはできません。

これは最終的にはステレオタイプを撤廃すること以上のものです。 私たちの社会や未来を変える可能性のある文化的な変革を行うことなのです。