「平等に考え、聡明に構築し、変化のための革新を」

2019年度国際女性デーにおけるプムズィレ・ムランボ=ヌクカ UN Women 事務局長の声明

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イノベーションが世界中の人々の暮らしのあり方に変化をもたらす中で、私たちは女性と女児の人生に良い影響をもたらすような使い方を考えなければなりません。それは、彼女たちがイノベーションの消費者という立場だけではなく、実際にイノベーターになり得るということです。彼女たちの協力を得ることで、女性が働きやすい労働環境や女性に向けた商品・サービスの提供、インフラの整備まで、女性や女児特有のニーズに特化した解決策を作り出すことができるでしょう。今年の国際女性デーのテーマである「平等に考え、聡明に構築し、変化のための革新を」は、女性と女児のニーズや視点を反映し、公共のサービスや機会への障壁をなくすべく、イノベーションを中心課題においています。

 

電子マネーとデジタル決済などに象徴されるテクノロジーが社会的利益をもたらす時代には、どこにいてもその利益を享受することができます。道のない辺鄙な地でも、ナイジェリアの15歳のエノ・エカネム少年が発明した、SMSを使ったドローン宅配等のスマートな発明は、医薬品等を運び患者の命を救うことも可能にするのです

 

リベリアの僻地で助産師をしているロリーナ・キャルウェイ氏は、停電においても乳児を取り上げる手を止めませんでした。彼女は携帯電話の灯りをその場で使用したのです。今では、女性シンプル且つ低価格なソーラーランプを発明し、ロリーナ氏や電気へのインフラ整備が十分でない複数のヘルスセンターや家庭において、クリエイティブで持続可能な解決策をもたらしています。このような再生可能エネルギーなどの発明は、今後もさらに利便性を高めていくでしょう

 

女性の新鮮且つ的を得た考え方は、インフラにも目に見える大きな変化をもたらします。私たちのBuy from Women Enterprise Platform」(女性の起業家から購入するプラットフォーム)は、女性のためのサプライチェーンを最大限に活用するために携帯電話技術を利用しています。例えば、女性の農家や組合を、金融やマーケットなどに繋げる役割を果たしています。「Senergy」というセネガルの首都ダカールでの大規模なソーラーパワープロジェクトは、現地の学校や産科病棟など様々な場面で恩恵をもたらしています。それは、女性の視野を開発に盛り込んでいるからです。

 

イノベーションもテクノロジーも、それを発明したり創作した人々の意思を反映しています。現在のテクノロジーが作られていく段階において女性が幾度となく取り残されてきた事実に対して、私たちは行動を起こさなければなりません。テクノロジーにも、女性の意見を取り入れるべきです。

 

人種や民族、性的指向、または社会経済的状況によって意見が反映されてこなかったグループ、テクノロジーにおける意思決定に対して意見を述べる機会が与えられるべきです。例えば通勤・通学者歩行者など全ての人の安全を図る都市計画においてはハラスメントや性被害に遭いやすい場所に関するデータを反映させた照明や歩道を作ることは非常に有効的です。それには、女性の意見を取り入れることが必要ですまたこのようなことが、女性の生理に必要なものが揃ったトイレの建設や、公的サービスへのアクセスの増加に繋がることもあります障壁を壊しジェンダー平等推進を進めるためには、ジェンダーの視点を持ったイノベーションやテクノロジーが必要不可欠なのです。

 

また我々のGlobal Innovation Coalition for Change(変革のためのグローバルイノベーション連合)は民間セクターや学界、そして非営利機関の代表者とともに女性のためのイノベーションの市場を成長させジェンダー平等と女性のエンパワーメントの達成を加速させます。

 

女性と女児は、彼女たちの人生に影響を及ぼす政策方針やサービス、インフラを形成する機会が与えられるべきです。最近ヨーロッパなどでは、気候変動に対してのデモ行進における女性の存在が目立っています。女性たちはこのように社会を変えていく主役として準備ができているのです。

 

最も声の拾ってもらえない個人や何億もの非正規労働者たち ー 病気や育児、介護状態にある人々のための政策や財政的保護の決定に関わることができない人たちー に目を向け、私たちは社会の非常に根深い問題に取り組もうとしています。そうして初めて、私たちは私たちの望んでいる進歩を実現することができるのです。

 

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