広告におけるジェンダーに基づくステレオタイプを無くしていく共同イニシアチブ:アンステレオタイプ・アライアンス

日付:

2017年6月20日にカンヌにて、プムズィレ・ムランボ=ヌクカ国連事務次長およびUN Women事務局長は、広告業界のリーダーと共にカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルに参加しました。そして業界に対して、ジェンダー平等の実現に向けたコミットメントを強化し、共同で広告におけるジェンダーに基づくステレオタイプをなくしていくよう呼びかけました。女性のエンパワーメントとジェンダー平等に取り組む国連機関の責任者として、今後もプムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長は、より革新的な女性の描写のための行動を働きかけ、変化を促進する業界の支援者を評価していきます。

プムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長は、「グローバルな広告業界は、卓越した創造力により顧客の製品やサービスの選択肢をつくり、それに影響を及ぼします。この強力なプロセスの副産物が、まさに男女双方のネガティブなステレオタイプの形成とその強化なのです。これらの固定化されたイメージは、文化規範となり、ジェンダー平等への深刻な障壁となっています。私たちはそのことを認識して変革していく必要があります。私は、業界のリーダーに対し、自らの役割をより批判的に省み、仕事を具体的に見直し、共同で指標を作り、変化を推進するよう呼びかけます」と述べ、現代社会を形成する上で、ビジネス界とそのリーダーの責任の大きさを強調しました。

Unilever、P&G、WPP、Johnson & Johnson、AT&Tのような業界トップ企業の支援と、その他多数の業界のリーダーのコミットメントを受けて、UN Womenは共同の行動に向けて働きかけを行います。広告における認識や文化的な変化を促すためにも、業界の真の変革に向けた行動を推進します。

世界中で、ジェンダー平等に向けた行動の変容は、社会が進歩する上で主要な促進力であると認識されています。2017年3月に発表された、女性の経済的エンパワーメントに関するハイレベルパネルの報告書では「ステレオタイプの是正:不平等な社会規範に立ち向かい積極的なロールモデルを促進する」を、女性の経済活動の参加を増やすための、7つある主要な促進力のうちの1つとしました。2016年マッキンゼー・グローバル・インスティチュートのジェンダー平等に関する報告書によれば、世界の労働市場における女性の均等な参画は、2025年までに世界のGDPを年間28兆ドルも増加させる可能性があります。にもかかわらず、そのような変化をもたらす努力は依然として限られており、資源が不足しています。

カンヌで発表されたUN Women主導の共同イニシアチブには、6月22日カンヌにてUnileverと共同で開催した「アンステレオタイプ・アライアンス」があります。本連携は、広告主と共に、世界的な広告・宣伝におけるステレオタイプの是正に積極的に取り組むことを目的としています。また、P&G、AT&T、Johnson & Johnson、Unileverなどからの協賛及びWPPからの隔年の支援を受けて、初のジェンダー平等に関する意識調査(Tracking Study on Gender Equality Attitudes)を行います。

「広告業界のジェンダー平等意識について確実なデータを収集する必要があります。意識調査は、変革に向けた政策や投資を促すものであると確信しています。我々は、広告業界のトップ企業と、調査やアンステレオタイプ・アライアンスで連携していくことを楽しみにしています。本調査は政策や教育に留まらず、広告における女性と男性の両方の描写の調整を通じた是正措置に重要な視点を提供します。そして、アンステレオタイプ・アライアンスにり、調査の結果は広告業界のさらなる努力強化と動機づけに貢献するでしょう」とプムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長は述べました。

Unileverの最高マーケティング・コミュニケーション責任者であるキース・ウィード(Keith Weed)氏は「アンステレオタイプ・アライアンスは、Unileverのブランドだけでなく、業界全体がジェンダー・ステレオタイプに基づいた表現から離れて広告を展開するという世界的な野望への第一歩です。我々はセクターを超えた共同の是正措置が持続的な変革につながると考えており、それを行動に移すための重要なステップとして、アンステレオタイプ・アライアンスを共催することを誇りに思います。ジェンダー平等に関する意識調査に基づき、社会に貢献しビジネスにも適した、ステレオタイプを是正した広告・宣伝のためのツールを構築しています。私たちの仕事は、社会における女性と男性の役割を縮小または制限するような広告がなくなるまで終わりません」と述べました。

先述の調査の共同スポンサー及び「アンステレオタイプ・アライアンス」における主要な指導者でもあるP&G 最高ブランド責任者、マーク・プリチャード(Marc Pritchard)氏は「私たちのコミットメントは、広告やメディアを通じてジェンダー平等を促進するという共通の信念に基づいています。そうすることで全体の機運が高まるからです。我々のブランドやビジネスは成長し、社会がより良いものとなり、全ての人々がその恩恵を受けます。我々は、創造性については今後も激しく競争していきますが、共通の利益のためにひとつになることができます」と述べました。

Johnson & Johnson最高マーケティング責任者、アリソン・ルイス(Alison Lewis)氏「当社は、女性が指導する立場に立つ機会を与えられれば、人々の健康に貢献することを理解しています。私たちは、すべての女性の力を信じており、その信念を反映する広告規範を提唱していきます。また、ジェンダー平等に関する意識調査は、女性が直面する課題をさらに理解し、他の業界指導者らとのパートナーシップを促進し変化を加速するのに役立ちます」と述べました。

WPPは、世界有数の広告・マーケティング・サービス・グループとして、人と地球のための世界的な計画であるSDGsの達成に向けて、UN Womenと連携しています。その一環としてWPPグループ企業であるカンターは、規範、姿勢、ステレオタイプに関する行動を裏付けるためのデータを提供するジェンダー平等に関する意識調査(Tracking Study on Gender Equality Attitudes)の考案に協力してきました。WPPのCEOであるマーティン・ソレル(Sir Martin Sorrell)氏は「昨年このイニシアチブを立ち上げたとき、私たちの野望の1つは、持続可能な開発目標達成に向けて異なる産業同志がひとつになることでした。また、「アンステレオタイプ・アライアンス」やジェンダー平等に関する意識調査(Tracking Study on Gender Equality Attitudes)は、競争を脇におくことで何が達成できるかを示す強力な事例です。私たちは、それぞれを支援し、ジェンダー・ステレオタイプと不平等に取り組むコミットメントを強化していきます」と述べました。

AT&Tの最高ブランド責任者であるフィオナ・カーター(Fiona Carter)氏は、「宣伝・広告におけるジェンダー不平等は長年にわたる問題です。しかし、私たちは真の変化の最前線にいると信じています。先述のアライアンスと調査がその証拠です。最大のブランドが一緒に取り組めば、大きく進展することができるからです」と述べました。

 

UN Womenは、ステレオタイプをなくすために、HeForSheイニシアチブ等を通じて、男性や男児、青少年や信仰に基づく指導者など、多様なジェンダー平等の支持者と連携を図りながら活動しています。例えば、UN WomenのパートナーであるPromundoと実施した、中東および北アフリカの4カ国における男性の意識調査など、特に男性に焦点を当てた重要な研究を行っています。この調査では不平等な意識をもつ人が大半を占める一方で、父親が男女平等意識があった人ほど何かしらの形で男女平等を支持していることが分かりました。調査対象の男性の4分の1以上は、家族の団結のためならば女性が暴力に耐えるべきと考えていました。また、回答者の29%が政治的意思決定の立場により多くの女性が立つべきと答えています。

さらに、UN Womenはガールガイド・ガールスカウト世界連盟などと共に、女児に対する暴力の撤廃に取り組むなど、幼少期におけるステレオタイプや悪影響を及ぼす態度の是正に取り組んでいます。また、同様の観点からスポーツ界を主要なパートナーと考えています。

今回カンヌで開催された第一回「アンステレオタイプ・アライアンス」会合の参加者は以下のとおりです。

  • Alliance for Family Entertainment, Chairman, Stephen Quinn
  • Alibaba, CMO, Chris Tung
  • AT&T, Chief Brand Officer, Fiona Carter
  • Cannes Lions, CEO, Philip Thomas
  • Diageo, CMO, Syl Saller
  • Facebook, VP of Global Marketing Solutions, Carolyn Everson
  • Geena Davis Institute on Gender in Media, CEO, Madeline Di Nonno
  • Google, President, EMEA Business & Operations, Matt Brittin
  • IPG, CEO & Chairman, Michael Roth
  • Johnson & Johnson, Global CMO, Alison Lewis
  • Mars, CMO, Andrew Clarke
  • Mattel, SVP and General Manager Barbie, Lisa McKnight
  • Microsoft, Corporate VP of Brand, Advertising and Research, Kathleen Hall
  • P&G, Chief Brand Officer, Marc Pritchard
  • Publicis, CEO, Arthur Sadoun
  • The Female Quotient, CEO, Shelley Zalis
  • Twitter, CMO, Leslie Berland and COO, Anthony Noto
  • Unilever, Chief Marketing and Communications Officer, Keith Weed and EVP Global Marketing, Aline Santos
  • World Federation of Advertisers, CEO, Stephan Loerke
  • WPP, CEO, Sir Martin Sorrell

先述のジェンダー平等に関する意識調査(Tracking Study on Gender Equality Attitudes)のスポンサーは以下のとおりです。

  • AT&T
  • Johnson & Johnson
  • P&G
  • Unilever
  • WPP/Kantar

ハイライト

業界のリーダーたちが、アンステレオタイプ・アライアンスの一環として、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルに集まりました Photo:Getty Images @ Cannes Lions

2017年6月22日、フランス、カンヌにて、UN WomenとUnileverが協働し立ち上げた「アンステレオタイプ・アライアンス」は、2017年のカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルで会合を開きました。約25社の業界のリーダーたちが集まり、広告におけるジェンダーに基づいた有害なステレオタイプの是正といったグローバルかつ普遍的な共通課題へのコミットメントを確認しました。参加者は、コンテンツ作成の基準を設け、ジェンダーに関する革新的な描写に向けたロードマップとツールの開発に合意しました。さらに、職場、特に上級管理職やクリエイティブ部門におけるジェンダー多様性に関する目標を設定することを決定しました。 2020年までの実質的な影響を考慮して、第三者調査を含む透明性と説明責任を果たし、進捗を毎年測定することを約束しました。 

フェスティバルでは、アイルランドのRichardsdeeのチームが金賞を受賞しました Photo:Getty Images @Cannes Lionsption

カンヌ・ヤング・ライオンズ・コンペティションではアイルランドのチームが金賞を受賞しました。今年のクリエイティビティ・フェスティバルでUN Womenが課した課題に応えるために、Richardsdeeのエマ・ウィルソン(Emma Wilson)氏とカイル・ショウ(Kyle Schouw)氏から成るアイルランドのチームは、 UN Womenの下でキャンペーンと特別なイニシアチブを視覚的に統合したブランドシステムをデザインしました。銀賞はオーストリアチーム、銅賞はポルトガルチームに贈られました。自国で予選を勝ち抜いた23カ国の代表チームがこのコンテストに参加しました。

右から:金賞受賞のKyle Schouw氏とEmma Wilson氏のアイルランドチーム、銅賞受賞のElsa Rodrigues氏とInêsCoelho氏のポルトガルチーム、銀賞のNanette Braun氏、Magdalena Jo Umkehrer氏とMarion Fresacher氏のオーストリアチーム Photo:Getty Images @ Cannes Lions