ジンバブエの女性と女児に対する暴力をなくすためのフェミニスト運動の構築
日付:
2022年5月26日(木)
原文はUN Womenの女性に対する暴力撤廃のための国連信託基金(UN Trust Fund to End Violence against Women)ウェブサイトに掲載されています。
「フェミニスト運動の構築に対する私たちの評価は、集団の力を認識することにあります」- 若い女性のための開発センター ( Institute for Young Women’s Development) プログラム・コーディネーター、サンドラ・ゼンダ
ジンバブエ、ビンドゥラ都市部のInstitute of Young Women's Developmentのメンバー。写真提供:Onai Chitakunye/IYWD
ジンバブエでは、15歳から49歳の女性の約3分の1が身体的暴力を、約4分の1が15歳以降に性的暴力を受けた経験があると言われています[1]。
ジンバブエの農村や鉱山のコミュニティに住む若い女性たちの運動である「若い女性のための開発センター(Institute for Young Women's Development 以下:IYWD)」は、コミュニティの組織化と運動の構築を通じて女性をエンパワーすることで、常在する暴力に対処しています。
この活動を支援するため、EU/国連スポットライト・イニシアティブの下、女性に対する暴力撤廃のための国連信託基金(UN Trust Fund to End Violence against Women)は、2020年初頭にIYWDが南部アフリカ・ジャスト・アソシエイツ(JASS SNA)と連携してマニカランドとマショナランドで実施開始したプロジェクトに資金援助しています。
プロジェクト「What Women Want」
プロジェクト「What Women Want」ジンバブエにおけるジェンダーに起因する暴力に対する草の根の女性の集団的パワーの構築をしています。このプロジェクトには、女性に対する暴力に関連する社会規範や慣習に影響を及ぼすために、フェミニスト運動構築のノウハルを使用しています。
戦略の一環として、このプロジェクトは「フェミニスト運動構築スクール」というトレーナー養成プログラムを設け、女性にリーダーシップのスキルを身につけさせ、何が暴力を引き起こすのかについての理解を深めています。中立的で、包括的、交差性の原則に基づたこれらの学校は、女性活動家の主体性を高め、暴力やジェンダー不平等に対してより主張できる力を与えてきました。IYWDプログラム・コーディネーターのサンドラ・ゼンダは、次のように述べています。
「この戦略は、女性の人権擁護者、自称女性セックスワーカー、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー女性の包摂と完全な参加を確保し、連帯することに成功しています」
初期の成功例
2021年初頭、新しい学校に通っていた女性たちは、マショナランド中央州でコミュニティ主導の内部告発キャンペーンを立ち上げました。これにより、女性活動家、地元のリーダー、警察の被害者支援部隊の間の連携が育まれ、女性や少女に対する暴力事件の報告や対処が改善さ れました。ビンドゥラ地区だけでも、このキャンペーンにより、ジェンダーに起因する暴力の報告件数が3倍に増加しました。
活動家はまた、女性が毎週金曜日に地元の意思決定者と関わり、女性や女児に対する暴力について話し合い、解決策や保護メカニズムの構築に貢献できるような、バーチャルな関わり合いプラットフォームを開発しました。
アライアンス(連携)の強化
さらに、IYWDとJASS SNAは、運動を超え、セクターを超えた連携を構築しました。すでに45の市民社会組織と提携し、より多くのリソースを利用し、市民の空間を脅かす法律に対して集団で主張することができるようになりました。また、家父長的な信念や制度の門番である意思決定者と密接に連携し、女性や 女児に対する暴力防止のための行動への支持を促しています。サンドラ・ゼンダは次のように説明します。
「私たちは、若い女性活動家に影響を与える支援提供の問題に対する解決策を共同で作成する際に、彼らを味方につけることによって、(中略)彼らと直接関わっているのです」
IYWDが主導するエンパワーメント活動は、女性、地域のリーダー、政策立案者を結びつけ、女性に対する暴力を共同でなくすために、地域のメンバーを変革の担い手へと変えるだけでなく、地域のフェミニスト運動の育成にも役立っています。
[1] https://zimbabwe.unfpa.org/en/topics/gender-based-violence-0