茂木敏充外務大臣(当時)インタビュー

 

  

茂木敏充外務大臣

Photo: Ministry of Foreign Affairs of Japan

 

日本は、ジェンダー平等と女性のエンパーメントのための国連機関であるUN Womenにとって、極めて重要なパートナーです。UN Womenと日本はともに、アフリカ、アジア太平洋、アラブ国家における人道危機対応や女性、平和、安全保障、暴力的過激主義の防止などに取り組んできました。また日本は、UN Womenの人道危機対応に関するフラグシップ・プログラミング・イニシアティブ※1であるLEAP※2Women’s Leadership, Empowerment, Access & Protection in Crisis Response)のチャンピオン国でもあります。このUN Womenとのインタビューでは、茂木敏充外務大臣が、なぜジェンダー平等の実現が日本における重要課題であるかを明らかにし、UN Womenの果たす役割と期待について述べています。

 

なぜジェンダー平等が政府にとって重要なのでしょうか?

女性の活躍は,国際社会全体として,経済社会に多様な視点や新たな創意工夫をもたらし,社会の活力を生み出す大きな源になるものです。そうした観点から,女性の活躍を促進するための政策は,社会政策に留まらず,経済政策においても重要な要素となっています。       

日本政府は,女性の活躍推進を最重要課題の1つに掲げていますが,男性,女性それぞれの置かれた立場に配慮しながら,柔軟に仕事ができるような環境を作っていくことが,社会の活性化と経済成長に繋がる鍵であると考えます。

 

UN Womenの世界におけるジェンダー平等の役割についてどのように見ていますか?

女性のエンパワーメントを世界規模で推進するUN Womenは,日本にとって頼もしいパートナーです。新型コロナウイルス感染症の世界的拡大が女性に与える影響について,国連では,UN Womenが中心になって政策提言を策定しました。国際社会がこの未曾有の危機と立ち向かう中,今後の対応策を検討する上で大いに参考になるでしょう。

日本は,UN Womenがジェンダー平等を達成するために進めるフラグシップ・プログラミング・イニシアティブにおける「LEAP(Women’s Leadership, Empowerment, Access & Protection in Crisis Response)」を支持しています。日本は,ドナー国として,危機下の女性の保護や経済的エンパワーメントの側面から積極的に支援しており,今後もUN Womenと緊密に連携していきます。

 

多数国間協力政策にどのようにジェンダー平等と女性のエンパワーメントが反映できるとお考えですか?

 

ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは,SDGsの全ての分野に関わるものであり,SDGsを達成するために不可欠なものです。日本は,「ビジネスとイノベーション」,「地方創生」と並ぶ「SDGsモデル」の三本柱の1つとして「次世代・女性のエンパワーメント」を据えるとともに,開発協力において,女性と女児の権利の尊重,能力開発のための基盤整備,女性の政治参画とリーダーシップ及び経済的エンパワーメントを優先課題としています。そうした観点から,あらゆる分野でジェンダーに配慮した視点を取り入れることにより,開発援助の裨益の拡大,開発効果の向上を目指しています。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大は,国際社会が協調し,連携することの重要性を改めて認識させる機会となりました。また,女性や女児の置かれる脆弱な立場も浮き彫りになっています。ポスト・コロナの時代において,ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに配慮した,より一層良い社会を作るため,引き続き,国際社会と協力していきたいと思います。

 

 

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1 フラグシップ・プログラミング・イニシアティブFlagship Programming Initiative)とは:

・実施するプロジェクトを12分野に整理し、大規模なプロジェクトに集中して支援を実施するUN Womenのイニシアティブ。

・各12分野のチャンピオン国を指定し、チャンピオン国等の支援によりUN Womenがプロジェクトを実施するとされる。

 

LEAPWomen’s Leadership, Empowerment, Access & Protection in Crisis Response)とは:

12分野のうち、日本がチャンピオンに就任した分野であり、女性のリーダーシップと参画による「平和・安全保障・人道支援」の推進を目的とし、ジェンダーに配慮した計画等構築支援、危機下の女性の保護、経済的機会へのアクセス促進を行う。

 

ともに、外務省女性参画推進室「第62回国連女性の地位委員会サイドイベント UN Women Flagship Programming Initiative LEAP ラウンド・テーブル」より引用

http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/ikenkoukan/74/pdf/shiryou_1-1.pdf20181129