日本政府拠出案件~ウガンダ~

福澤秀元在ウガンダ日本国大使、 西ナイル地域における 「 女性のリーダーシップ、エンパワーメント、アクセス及び保護」(LEAP)のイニシアティブを進める視察

福澤秀元在ウガンダ日本国大使は、 西ナイル地域のアルア、マディ・オコロ、ユンベの難民居住区を訪問し、UN Womenが実施する日本の資金援助プロジェクトの視察に参加した際に、日本政府がウガンダに滞在する南スーダンの難民とホストコミュニティを支援することを改めて表明しました 。 2021年3月、日本政府は2021年4月から2022年3月までの1年間、COVID-19の影響を緩和することに重点を置いて、難民やホストコミュニティを支援すると同時に国境警備の強化を図るために約980万米ドルを拠出しました。 

 

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この支援は、国連とUN Womenを含む国際機関を通じて行われています。 

2021年8月23日~25日の今回の訪問で、大使はビディビディ難民居住地区の首相府やマディ・オコロ県、ユンベ県の県地方自治体事務所を表敬訪問し、実施パートナーやプログラムの受益者と交流しました。 UN Womenは、「Care International」(CARE)、「Refugee Law Project」(RLP)、「Transcultural Psychosocial Organization」(TPO)、「Peace Winds Japan」 (PWJ)、「Delight Uganda〜デライトウガンダ〜」、およびユンベ県アジュマニ県の地方自治体との協力のもと、本プロジェクトを実施しています。 

「Leadership, Empowerment, Access, and Protection〜女性のリーダーシップ、エンパワーメント、アクセス及び保護〜」(LEAP)プログラムは、難民居住区やホストコミュニティに住む4,000人の女性の回復力、自立心、リーダーシップを促進することを目的としています。 1,154,817米ドルの本プロジェクトは、日本政府からの資金提供を受け、2021年4月1日から2022年3月31日までの12か月間実施されています。   

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「ユンベ県は、最大の難民受け入れ地区です。そのため、難民とホストコミュニティ双方の生活支援を目的とした多くのパートナーシップを必要としています。UN Womenをはじめとするパートナーによる同地区の難民とホストコミュニティへの支援に感謝しています。 」と、ユンベ県の 主席行政官(CAO)であるイノセント・アサバ氏は述べています。西ナイル地域だけで約672,790人の難民を受け入れていますが、その中でもユンベ県は239,141人の難民を受け入れており、これはウガンダにいる1,499,562人の難民の15.9%に相当します。 

プロジェクトの受益者との交流の中で、大使は、このプロジェクトが難民の女性の農業従事能力を高め、経済的にも生計を立てる力を与えていると評価しました。特に、RLPによるリーダーシップ能力の向上、 CAREよるキャッシュ・フォー・ワーク(CFW)の実施、TPOによるメンタルヘルス支援、デライトウガンダによる気候変動に対応した農業プロジェクトなどが挙げられました。 

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大使はプロジェクトの受益者たちの話に耳を傾け、プロジェクトが彼らの生活をどのように変えたか等の体験談を受け止めて下さいました。南スーダンの難民である Solomy Akujo(ソロミ・アクジョ)さんは、ウガンダへの逃避行の中で経験した性的虐待を含む拷問のような試練から、精神保健・心理社会的支援によって生活が一変し、彼女と彼女の家族が落ち着いた生活を送れるようになったことを語りました。心理社会的支援によって、彼女は死にたい気持ちをコントロールできるよう、より良い対処法を取り入れることができるようになりました。 LEAPプログラムの実施パートナーであるTPOは、特定のコミュニティ・メンバーをボランティアの心理社会的アシスタントとして養成し、難民女性が継続的に身近な心理社会的サポートを受けられる仕組みを作っています。 

他にもこのプロジェクトを通じて、難民女性は、靴作り、市場向けの生産と包装による農産物の付加価値化、果物加工などの収入を得るための活動を開始し、1000人 の女性が「Village Saving and Loan Associations〜女性たちによる村落貯蓄貸付グループ〜」(VSLA) に登録しました。

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2021年4月から8月までのプログラム介入 

UN WomenとCAREの共同活動 

  • セカンドチャンス教育の取り組みを通じて、200人の女性と若者の職業スキルの訓練を提供。 

  • セカンドチャンス教育の受益者100人にビジネスを立ち上げる為の、起業資金を提供。 

  • 女性企業センターを通じて、1000人の女性と若者に、ICT施設と設備の利用、市場情報とネットワークへのアクセス、メンターシップを提供。 

  • 村の VSLAを30団体設立し、それぞれの組合員数30人を目標。 

  • VSLAsのメンバー1000人に対して、VSLAの運営・管理に関するトレーニングを提供。 

  • ウガンダの200人の女性と若者に代替収入源を支援するCFWを提供。 

UN Womenと RLPの共同活動 

  • 1200人の女性、少年、少女を対象としたマルチメディア・アドボカシーと市民教育を実施し、男性や少年と協力して、根底にある有害な社会的規範や男女平等を容認する態度への取り組み。 

  • 伝統的又は宗教的な難民福祉協議会や地域のリーダーと協力して、「 ジェンダー平等と女性のエンパワーメント」(GEWE)に対する男性と少年の前向きな態度と行動を促進。 

  • 難民コミュニティの男性や少年と協力し、地域の女性組織やネットワークとのパートナーシップを通じて、女性のリーダーシップを支援するコミュニティレベルの啓発活動を主導。 

  • 「大人のための英語」(EFA)クラスを通じて、400人の難民女性とホストコミュニティの女性に識字や 計算のトレーニングを提供。 

  • 200人の女性リーダーを対象に、意思決定に影響を与え能力を高めるための基礎知識、スキル、自信、発言のトレーニングを実施。 

  • 500人の女性と少女に法的支援を提供。 

UN WomenとTPOの共同活動  

500人の「ジェンダーに基づく暴力」(GBV)を受けたサバイバーの女性と少女に、専門的な認知行動療法を用いて心理社会的支援を提供し、これには以下が含まれます。 

  • 2,400人のコミュニティ・メンバーを対象とした心理教育の実施。 

  • 約6,000人の女性を対象に、GBV被害やストレスに関連する精神疾患のスクリーニングを実施。 

  • 選ばれた480人の女性に心理社会的支援を提供。 

  • 受入検疫所での心理社会的応急処置の実施。 

UN WomenとPWJ の共同活動 

  • セカンドチャンス教育の取り組みを通じて、100人の女性と若者の職業スキルを開発。 

  • セカンドチャンス教育の受益者100人にビジネスを開始する為の起業資金を提供。 

  • 女性エンパワーメントセンターを通じて、100人の女性と若者に、ICT施設や設備の利用、市場情報、ネットワーク、サポート、メンターシップを提供。 

  • 66人の女性と若者に代替収入源を支援するCFWを提供。 

  • 女性が現金プログラムにアクセスすることを妨げる可能性のある根本的なジェンダー規範に取り組むために、66人のCFW受益者にジェンダー・アクション・ラーニング・システム手法のトレーニングを提供。 

UN Womenとデライト・ウガンダ及び、アジュマニ県、ユンベ県の地方自治体の共同活動 

  • ホストおよび難民居住区のコミュニティに住む1000人の女性に、気候に適した果物や穀物の生産技術、アグリビジネス、その他のライフスキルを提供。