「この機運を活かさねばなりません!」―UN Women事務局長の訪日

プムズィレ・ムランボ=ヌクカ国連事務次長・UN Women事務局長スピーチ、東京都文京区におけるUN Women日本事務所開所式にて

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所長、大使閣下、総理ならびに大臣、副大臣。そしてホストを務めていただいている区長。大学関係者及び市民の皆様、特に私たちのパートナーである名古屋大学、国連関係者の皆様。UN Women 支援者の方々、特に長い期間にわたり日本でのUN Womenの支援者である国連ウィメン日本協会の皆様。民間企業の皆様、若者の皆様。ジェンダー平等を支持して出席いただいている男性、そして女性の皆様。

本日、ここにUN Women 日本事務所開所の日を迎えることができたことを大変うれしく思います。この事務所は、アジア初のリエゾン・オフィスであり、これからすばらしい事務所となることと思います。そしてWAW!会議に参加させていただき有難うございました。この会議が、私たちにとって大変有意義なものとなったことにお礼を申し上げます。また、これから日本の皆様の取り組みにも大きな意味を持つものとなったことと思います。

安倍総理がこの事務所に対するビジョンを発表されたのはわずか一年前でしたが、本日共にそれを実現することが出来ました。私たちは、この夢を実現するために日本政府、そして文京区から大きな支援を賜りました。日本のためだけでなく、世界中の男性や少年のためにHeForShe キャンペーンに参加いただいている総理及び区長が、本日私たちと共に出席されていることを大変誇りに感じています。

また、本事務所に日本政府から人材を派遣いただいたことを大変光栄に思います。そして、その方がこの日本事務所のリーダーとなられる方です。この人事を可能にしていただいた外務省に感謝いたします。このことはすでにUN Womenと日本政府との強固で、かつ多様な協力関係を示してしますが、ここに我々が事務所を開所したことを通じてその関係がさらに硬いものとなることを願ってやみません。また文京区に対して、ここに事務所を開所させていただいたこと、そして、本事務所の運営支援のために人材を派遣いただいたことに感謝したいと思います。事務所長として短い準備期間にもかかわらず本日の開所式のために尽力されました福嶌香代子所長にお祝いを申したいと思います。本日さまざまな役割を担っていただいた方々、その役割の重要性は時間の経過と共に増していくことでしょう。若者たち、例えば、ボーイスカウトのリーダー、また区長がお話になっていた学校に通う若者、文京区がこれまで女性のために行ってきた歴史。そして、本日は、日本の女子ワールドカップサッカーのスターにもお越しいただいていることを大変喜んでおります。ここにいらっしゃればお立ちいただきたいと思います。ありがとうございます。

このことは私たちにとって大変重要なことです。なぜなら、女性がスポーツの世界の舞台で記録を残している事を目の当たりにしているのです。そして日本は、女性がスポーツにおいて変革をもたらしている国の一つであることを嬉しく思います。彼女たちの存在は、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントはすべての人々にとって意味あることだということを示しているのです。―このことは、男性、女性にとって、少年少女にとっても、すべての人の問題であり、また、国内問題であると共に国際的な問題でもあるのです。このことを誰よりもよくご存知なのが安倍総理です。安倍総理はHeForSheキャンペーン及び世界から10大学、10国家元首、10企業が参加する「10×10×10 IMPACT イニシアティブ」のまさに最初の支持者であります。日本がとてもすばらしいのは、今日ここにその10国家元首の内の一人である安倍総理と、そして10大学の一つ名古屋大学の松尾総長にご臨席いただいていることです。「10×10×10 IMPACT イニシアティブ」の中でこの組み合わせを持つのは日本だけです。これは何を意味するのでしょうか?HeForSheキャンペーンは、国内の女性のリーダーシップを推し進めるものですが、安倍総理みずからがこの課題に取り組まれています。また、このキャンペーンの活動支持者は、世界の女性のエンパワーメントを推進することになるのです。日本は女性のエンパワーメントと、紛争地域の女性に対する性的暴力を含む世界中の女性に対する人権侵害を撤廃することに対して大変強力な発言力を持っています。それは同時にUN Womenとの関係において活動を強化するということです。日本政府のUN Women に対する財政支援は年々増加しています。 ここで、私の後ろにあるHeForShe キャンペーンでの地図を御覧頂きたいと思います。

この地図は、世界中でジェンダー平等のために立ち上がった男性の数を表しています。皆さんが参加するには、まず、オンラインで登録してください、そうすれば番号が入手できます。その番号は皆様独自のもので、それが皆様固有のHeForSheの番号になります。その活動は御自身の履歴書に書き加えていただくこともできます。それが、皆さんがジェンダー平等のために立ち上がった男性であることを示すのです。また、ホームページ上のある国をクリックすれば、その国で何名がHeForSheに参加しているかを表示しています。ここで国同士で競争が行われている様子かがわかります。

日本では、職場でのジェンダー平等のための活動をサポートする「女性の経済的エンパワーメント原則」に参画した企業があることを承知しております。この原則は職場において男性がジェンダー平等を支持する男性の活動を支援します。日本は最近職場での女性のシニア管理職への参画を支援する法案(「女性活躍推進法」)を可決されたと伺っています。企業が「女性の経済的エンパワーメント原則」に参加することで、この法の施行がより推進され、意義深いものとなることを確信しています。

日本は、G7首脳会議において女性問題を推進する大変重要な役割を担っています。昨年のG7会議では、日本の主導で「女性の経済的エンパワーメント原則」が議論されました。また来年は、日本がサミットの主催国となるにあたり、この議論をさらに進めていただけるものと期待しています。日本政府のUN Womenに対する財政的支援の大幅な増加に深く感謝し、それを高く評価しています。日本からの支援を土台に、世界中の女性のエンパワーメントを支持し、さまざまな危機に対処することができるのです。私たちは日本政府と手を携え、マリ、コンゴ民主共和国、コートジボワール、カメルーン、エジプト、そしてヨルダンで活動してまいりました。また、パレスチナとシリアでも共に活動しています。これらの全ての国々で暴力から生き延びてきた女性への支援、及び、女性に対する暴力を予防するための活動も行ってまいりました。日本から頂いた資金は女性の経済的エンパワーメントのためにも投資しました。

これらが、我々が2030年までにジェンダー平等を達成するために必要不可欠な活動です。なぜなら、この年をジェンダー不平等撤廃の達成期限と設定したからなのです。我々は、これから2030年までの間、ジェンダー平等のために戦略的にかかわっていくかに焦点を当て、世界中の国々とともに活動していく所存です。

従って、この日本事務所を通じて、民間部門や、学術機関との関係をより強固なものとなるようにしたいと考えています。特に学術部門については先般名古屋大学のHeForShe インパクト イニシアティブ参画についてお話しました、名古屋大学の松尾清一総長そして中央大学にはすでに私たちの活動を支援することを約束いただいております。

日本の民間企業の中で、「女性のエンパワーメント」原則へ署名賛同いただいた企業の数は220にも及びます。古い社会構造上の性差別の撤廃、そして極めて重要なジェンダーに関する資金不足を埋めるために、ビジネスリーダーの方々と連携し、その上で、女性や少女のために資金を活用していくことの重要性を積極的に世界の国々に発信していきます。

皆様、今年は、私たちが北京宣言及び北京行動綱領を採択してから20周年の年になります。また、女性、平和と安全に関する国連安全保障理事会決議1325が採択されてから15年になります。日本では、これらの重要な合意が及ぼす影響を評価する支援を沢山頂いています。日本政府からは、特に、この女性、平和と安全に関する決議1325の支援者であり、この決議の影響を評価するための支援を継続していただいています。

最後に、この2015年に、私たちは世界における新たなアジェンダである持続可能な開発目標を採択する予定です。このアジェンダを通じて、私たちは女性のための改革を更に進めていきます。9月27日は、世界のリーダー達が集い、このアジェンダを掲げ、強化し、そして2030年までに重要かつ意味のある、そして逆行することのないジェンダー平等を達成することを約束する日です。私たちはこの日を楽しみにしています。

ありがとうございました。