アンステレオタイプ・アライアンス設立から一周年を記念し、最新報告書を発表 「アンステレオタイプ:ジェンダーを超えて。 隠れたステレオタイプ」

アンステレオタイプ・アライアンスとは、ジェンダー平等と女性の権利のための国連機関であるUN Women(国連女性機関)により招集された、しばしば広告において恒久化している有害なステレオタイプを撤廃するための業界のイニシアチブです。カンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルにおいてアンステレオタイプ・アライアンスの設立一周年記念にその主要な成果を祝いました。

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このアライアンスは新しい報告書、「アンステレオタイプ:ジェンダーを超えて。見えないステレオタイプ(Unsetereotype: Beyond gender. The Invisible Stereotypes)」における分析も同時に発表し、異なる文化的背景において表現されるジェンダーの複雑さ及びジェンダーと交差する他のステレオタイプの存在に焦点を当てることが急務であると指摘しました。

そして、IPG(世界第四位の広告グループ、インターパブリック・グループ・オブ・カンパニーズ)が制作した短編映画 「問題だと分かっていないことが問題(The Problem is not Seeing the Problem)」が上映され、広告においてステレオタイプを撤廃するよう直ちに行動することを業界に呼びかけました。

アンステレオタイプ・アライアンスを招集したプムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women(国連女性機関)事務局長は、アンステレオタイプ・アライアンスについて以下のように述べました。「不平等が存在すれば差別や社会的疎外も追随するいうことを私たちは知っています。社会におけるネガティブなステレオタイプに立ち向かうことが、不平等と闘う重要な一歩となるのです。アンステレオタイプ・アライアンスは一つの共通の目標のもと多様な企業を招集できる点で独特であり、その目標とは、広告業界の力を上手く利用し、ポジティブな文化的変化を生み出し、世界中の女性や女児の生活を向上させることです。」

アンステレオタイプ・アライアンスによる報告書「アンステレオタイプ:ジェンダーを超えて。隠れたステレオタイプ(Unsetereotype: Beyond gender. The Invisible Stereotypes)」には、南アフリカ、ブラジル、そしてインドの男女の調査結果が含まれています。本報告書では、ジェンダー、年齢、人種、交際状況、宗教、セクシュアリティといった個人のアイデンティティーや身分に対する認識の欠乏を指摘し、それが不平等なジェンダーの表現を生み、女性が社会的に見えなくされてしまうことにつながると報告しています。報告書の調査は、カンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルの支援を受け、今後、対象国や地域を拡大していく予定です。

報告書のハイライト:

・南アフリカでは、10人に8人の女性が、社会において女性が公平に代表されていないと感じており、また、約75%の女性が、メディアにおいても女性が平等に表現されていないと感じています。また、白人女性の過半数以上(53%)が過少に表現されていると感じる一方、同様に感じる黒人女性の割合は81%というのは驚異的です。

・インドでは、過半数以上の女性(53%)が社会において女性は公平に代表されていないと感じています。また、18歳~43歳独身女性に関しては、この数値が三分の二に近い62%に上ります。このことから、未婚女性は社会において重要ではないというステレオタイプが存在することが分かります。

・ブラジルでは、社会において女性が公平に代表されていないことに不満を持つ女性の割合が最も高い(79%)と報告されています。特に独身女性の場合、この数値が高く、85%に及びます。さらに、女性の4分の3近く(73%)は、管理職や経営者に関して女性が過少に代表されていると感じており、黒人女性においてはさらにこの数値が上がり、80%が不平等を実感しています。一方、30歳以上の白人男性に関しては、管理職について半数しか不平等だと感じていないと報告されています。

ユニリーバの最高マーケティング・コミュニケーション責任者であり、アンステレオタイプ・アライアンスの副議長でもあるキース・ウィード氏は、「ジェンダーのみに焦点を当てても、人々の多様性を正確に描くことはできません。ジェンダーと他の要素、例えば人種、セクシュアリティ、障害、年齢などとのインターセクショナリティ(注1)を理解することで、複数のレベルの差別に挑戦し、地域にポジティブな社会の変化をもたらすことができます。」と述べています。

協働はアンステレオタイプ・アライアンスの軸であり、メンバーのための知識のフォーラムに発展しています。また、アライアンスは拡大しメンバーも増え、アドビオムニコムグループ、パブリシスボーダフォン、 European Association of Communication Agencies、 ボストンコンサルティンググループ、 UNICEF(国連児童機関)、 Free the Bid、そしてJess Weinerが新たにアライアンスに加盟しました。

メンバーの貢献を通じて、アライアンスは測定可能な変化をより速く実現させるよう動いています。例えばメンバーの貢献は次のようなものです:Geena Davis Institute on Gender and Media  J. Walter Thompsonの調査によると、男性は女性の4倍画面上に映される時間が長く、女性より7倍話す量が多く、3倍対話の量が多いことが分かりました。他にも、世界広告主連盟の広告における進歩的なジェンダーの描写についてのガイドや、「The Female Quotient」による、企業に実践的なツールキットを提供する「平等のための最新ガイド」があります。また、ATT、ジョンソン・エンド・ジョンソン, P&G, ユニリーバや WPPの支援を受け、カンター・グループが、49カ国においてジェンダー平等に対する態度を測定するための調査を実施しています。

「広告とマーケティング業界は、多大な影響力を持っており、それゆえに世界のジェンダー規範について描写する際には大きな責任を持っています。アンステレオタイプ・アライアンスは、ジェンダー平等を促進し、ジェンダーの描写の仕方を変更し、そして私たちの活動をより効果的にするために私たちの結束力を高めました。このアライアンスには、私たちの活動のインプット及びアウトプットを測るための説明責任義務が組み込まれており、私たちの活動の進捗と職場の多様性両方に焦点を当てているため、このアライアンスに賛同したのです。アンステレオタイプ・アライアンスの使命に沿うにあたって、私たちはジェンダーだけでなくジェンダーと交差する問題を考慮することに注力しています」、とIPGの会長マイケル・ロス氏は述べました。

アンステレオタイプ・アライアンスは、広告のステレオタイプを撤廃するための進歩を測定するツールを開発する目的に向けて取り組みを進めています。UN Women(国連女性機関)とUN Global Compact(国連グローバル・コンパクト)が開発した実績のある方法論である、ジェンダーギャップ分析ツールを採用して、ビジネスの慣行を評価することに合意しました。アンステレオタイプ・アライアンスは、米国で広く使用されている方法であるGEM(注2)ようなツールをベースに、ブランドがステレオタイプに挑戦し、既存の市場や新興市場における進捗状況を記録するためのグローバルな広告測定ツールの開発を目指しています。現在テスト中のこのツールはオープンソース化される予定であり、あらゆる企業があらゆる市場やあらゆるリサーチデザインでこれを使用できるようになります。

AT&Tチーフ・ブランド・オフィサーのフィオナ・カーター氏は次のように述べています。「私たちは、真の変化を起こしており、データによって加速されています。世界最大のブランドがアンステレオタイプ・アライアンスに賛同し加盟することにより、時代遅れなステレオタイプを取り除き、新しい文化を形成しているのです。GEMスコアの向上は、広告主が女性や女児を正確に描写するために著しい進歩を遂げていることを証明しているのです。」

本日、アンステレオタイプ・アライアンスはIPGによって制作された、広告業界に行動を促すよう求める動画を発表し、ステレオタイプの危険性について明確な意見を表明しました (動画リンク:https://youtu.be/ngtO-efwLlw)。この動画は、「問題だと分かっていないことが問題  」というコンセプトのもとに制作され、ステレオタイプを撤廃するための最初のステップとして、ステレオタイプの問題をまずは認識するために深く観察することを広告業界に呼び掛けています。

今後一年間、アンステレオタイプ・アライアンスは、初年度の成功と協力関係を継続し、計測ツールの普及と導入、エビデンスとアドボカシー活動の拡大、女性や男性についての現実的で偏見のない描写への運動を促進するためのメンバーシップの拡大に注力します。

アンステレオタイプ・アライアンス加盟企業はこちら:http://www.unstereotypealliance.org/en#ourpartner

アンステレオタイプ・アライアンスについての詳細はこちら:http://www.unstereotypealliance.org

注1 人種、ジェンダー、階級、セクシュアリティなど、さまざまな差別が交差し、抑圧が生じること

注2 社会変革のために情報通信技術(ICT)を使用するイニシアチブの評価にジェンダー分析を統合した評価方法(https://www.apc.org/en/projects/gender-evaluation-methodology-internet-and-icts-ge