私のいる場所から:マイア・タラン(Maia Țaran)

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Maia Taran. Photo: UN Women/ Marina Vatav

夫がドアを開けて履き物を放り投げるのを見た瞬間、どんな夜になるか想像できました。

私は人が嫌いで、誰も信じていませんでした。3回自殺を図りました。当時3年生だった娘のアナは「私たちは死んだほうが幸せ?」と聞いてきました。

10年間そうして暮らしてきました。両親は夫の暴力を認知していましたが、モルドバの女性全員が経験することだと言いました。「4人も子供がいるのに、1人でどうするんだ」とも言いました。

ある日、夫が私に熱い油をかけようとしていた時、以前往診してくれていた看護婦さんが家に入ってきました。次の日、彼女は私を女性専用シェルターに連れていきました。

私と子供たちはシェルターでやっと安心して過ごすことができました。私やその他のサバイバーたちの経験を理解してくれるプロのチームが一丸となって助けてくれました。生きる権利、自分と子供たちを守る権利を持っていると信じられるようになるまで助けてくれました。精神的なサポートも受け、私を守ってくれる法律のことや、お金の管理の仕方と経済的に自立する方法も学びました。

離婚を申請した1年後、私は正式に離婚しました。

今現在、私はコミュニティで「ポジティブ・チャンピオン」として、暴力を振るわれている女性たちが声をあげ助けを求められるような支援を行っています。私は今幸せで、安全な場所にいます。子供たちも再び笑えるようになりました。

私は女性警官になって、家庭内暴力の被害に遭っている女性たちを助けたいです。私は自分の子供たちに、暴力を受けない自由な人生を与えることができなかったかもしれません。でも、孫の世代は全く違う人生を、愛と平和に満ち溢れた人生を、歩むことができます。

モルドバでは、10人中6人の女性が家庭内暴力を経験しているものの、モルドバの多くの人たちは、女性に対する暴力は解決不可能な問題であると捉えています。モルドバ南部のフルラデニの村に住むマイア・タラン(38)は、カウシェニにある女性専用シェルターから支援を受けた後、「ポジティブ・チャンピオン」として家庭内暴力のサバイバーが声をあげ助けを求められるよう支援しています。UN Womenモルドバ事務所とそのパートナーは、マイアとその他28名の家庭内暴力のサバイバーたちを支援し、コミュニティ内の約600人もの女性をエンパワーしています。イニシアチブが発足してからたった2か月で、女性専用シェルターには支援を求める声が沢山届いています。ポジティブ・チャンピオンのたちの経験は現在、新しい意識向上キャンペーンの最前線で活きており、モルドバ初めての家庭内暴力と女性に対する暴力を防止し撤廃する国家戦略の基礎にもなっています。タランの活躍は、持続可能な開発目標(SDGs)の、ジェンダー平等と女性と女児に対するあらゆる形態の暴力を撤廃することを掲げた目標5に当てはまります。