国連事務総長がヨルダンを訪問、第一の訪問先はザアタリ難民キャンプで UN Women が運営する女性センター

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グテーレス国連事務総長がザアタリ難民キャンプに到着し、キャンプの女性委員会長およびキャンプの難民委員会のメンバーであるイブティサム・マジャレシュ氏、UN Women ヨルダン事務所代表のジアダ・シュイク氏、およびUN Women ヨルダンの復興スペシャリストのヘバ・ザイアン氏に歓迎されている様子。写真:UN Women/ ベノワ・アルメラ

2017 年 3 月 28 日火曜日、アニトニオ・グテーレス国連事務総長がヨルダンのザアタリ難民キャンプを訪問しました。今回の訪問は同月の 23 日から 29 日に行われる アラブサミットに出席するためのものであり、グテレース氏にとっては事務総長に就任 してから初めてのヨルダンおよびザアタリ難民キャンプへの公式訪問となりました。

訪問中、グテーレス事務総長は、ヨルダンで生活するシリア難民の女性や女児と直接対話を行いました。「オアシス」と呼ばれる UN Women が運営する女性支援センタ ーに訪れ、難民女性のためのキャッシュ・フォー・ワーク(労働対価による支援)の重要性を認識しました。オアシスのワークショップで仕立て屋を営むナヘッド・アブダラさんは、「無力感を感じることが少なくなりました。仕事をすることで、自分たちに価値を見出し、エンパワーされると感じます」と言います。

彼女たちとの対話の中で、グテーレス事務総長は、シリアにおける平和回復の必要性を繰り返し強調しました。「ここで生活する女性がいつの日か自分たちの家に帰り、そこで働けるようになるこ とを願っています」。

ザータリ難民キャンプにある UN Women が運営する女性センターにて、キャンプの女性委員会長およびキャンプの難民委員会のメンバーであるイブティサム・マジャレシュ氏がアントニオ・グテーレス事務総長にシリア人難民の女性がアクセスできるキャッシュ・フォー・ワーク機会について説明する様子。写真:UN Women ベノワ・アルメラ

また訪問中、事務総長は、オアシスの女性キャンプ委員会の代表の女性 6 人ともミーティング を実施しました。委員会は、コミュニティーと支援者が、キャンプの意思決定メンバーと話しあいが持てるよう仲介するという役割を担っています。委員会の一員であるナジャーフ・モハンマド・ア リ・サリンさんは「家族を養っていくために、女性が働ける機会がキャンプ内で増えて 欲しい」と語りました。さらに、シリアの女性たちは、自分たちの体験談を事務総長に 語り、家族の離散や再統合、また生計を立てる手段や安全面の問題など、難民が経験する困難について議論を行いました。

アントニオ・グテーレス事務総長とオアシスの女性委員会の代表たちのミーティングの様子。写真 UN Women/ ベノワ・アルメラ

「UN Women は、キャンプ内の女性に対する最大のキャッシュ・フォー・ワークプログラムを通して、シリア難民の喫緊のニーズに対応すると同時に、女性たちのスキルア ップを支援したり、デイケア施設や教育プログラム、性的暴力からの保護などの支援 サービスの提供を行うことを目指しています。また同センターは、女性が集まり、自分たちの体験について語り合い、キャンプ内で集団としての生活のリズムを再び作り上げるための空間を提供しています」と UN Women ヨルダン事務所代表ジアダ・シュイ ク氏は説明します。UN Women が運営するこのセンターは、最も支援を必要としている年間1万6千人の難民に支援を行っています。

アントニオ・グテーレス事務総長がザータリ難民キャンプで行われた UN Women のハンドクラフトワークショップに参加したシリア人の難民女性が作ったモザイク受け取る様子。この写真ではモザイクはオアシスで働き、そこから得したマナー・アリ・ナブリシによって事務総長に手渡している。写真 UN Women/ ベノワ・アルメラ

訪問の最後に、事務総長はシリアの難民女性たちが作ったモザイク(小片を寄せ集めた絵)を受け取りました。モザイクは、このセンターで働く若い難民女性、マナー・ア リ・ナブリシによって事務総長に手渡されました。彼女はセンターで働いた経験によ り、ザルカ大学入学への奨学金を得ました。

紛争に伴い、経済的なエンパワーメントおよび安定した就職の機会は、シリア難民の女性にとってこの先も重要な課題です。また UN Women は最近、キャッシュ・フォー・ ワークプログラムを終了した女性たちが、レジリエンス(強靭性)に焦点をおいた機会 にビジネス・インキュベーターを通じてアクセスできるようにするといった革新的なプログラムを設立しました。このプログラムは、自分の小さなビジネスを持とうとする難民女性を支援する予定です。ザアタリ難民キャンプの活動は、フィンランド、イタリア、そして日本の政府の支援によって運営されています。