障壁を打ち破り、未来を築く ー ウガンダの女性難民と受け入れコミュニティのためのセカンド・チャンス
ウガンダ北部アルアの建設現場で働く南スーダン難民のグレイス・ポニさん。UN Women(国連女性機関)が支援するプログラムを通じて、グレイスをはじめとするこの地域の難民たちは技術的なスキルを身につけ、それを生活の改善に役立てています。
写真 UN Women/James Ochweri
自分の家を建てることを夢見るポニ・グレース
南スーダンのイェイで紛争が勃発し、唯一の故郷を離れなければならなくなったとき、ポニ・グレイスさんはまだ16歳でした。危険な旅の後、彼女と家族はウガンダのテレゴ地区にあるイムヴェンピ難民居住区にたどり着きました。そこは資源が乏しく、チャンスもないと思われる場所でした。ポニさんは語ります。「生活は困難でした。私の家族には基本的な生活必需品がありませんでした。収入を得る方法もありませんでした。インヴェンピは岩だらけで、畑を耕したとしても収穫は少ないのです。」
難民居住区に到着してから1年後、ポニさんは安定と夫からの支援を期待して結婚しましたが、後に見捨てられるだけでした。ポニさんは自分と2人の子どもたちの生活をなんとか凌がねばなりませんでした。UN Women(国連女性機関)が後援する「セカンド・チャンス教育・技能研修プログラム」のことを聞いたとき、ポニさんには迷いはありませんでした。彼女が選んだ研修は、周囲を驚かせました。それは、通常は男性の仕事であるレンガ積みだったからです。人々は彼女を批判しましたが、ポニさんは動じませんでした。「レンガ積みと石積みを選んだのは、他の仕事より収入が多いからです」と彼女は説明しました。
日本政府が資金援助したUN Womenの研修プログラムは、彼女の人生の転機となりました。現在、ポニさんは建設現場で石工やレンガ職人として働く数少ない難民女性の一人です。彼女の仕事ぶりは高く評価され、また、時間を守ることで知られています。彼女は自分と子どもたちの面倒を見るのに十分な収入を得ており、村の貯蓄貸付グループに参加し、毎週少なくとも7米ドルを貯めて、セーフティネットを築いています。
今、ポニ・グレイスさんには新しい夢があります。「私は自分の家を建て、子どもたちはより良い学校で学んでいます。」
南スーダン難民のアネット・ルカさん(左)は、ウガンダ北部のテレゴにある自宅の外で、母親と明るいひとときを過ごしています。ふたりが座っている木のベンチはアネットさんが学んだ新しい木工技術を使って作ったもので、こうして彼女はすでに家族を助けています。
写真 UN Women/James Ochweri
アネット・ルカさんは男性だけに限られた職業はないと語る
「男性にしかできない仕事はありません。男性や少年にできることは、少女にもできます」とアネット・ルカさんは言います。彼女はウガンダのアジュマニ地区にあるオムゴ2世難民居住区で唯一の女性大工です。
アネット・ルカさんはわずか5歳のときに父親を亡くしました。その直後、南スーダンの村で紛争が起こり、彼女の家族はウガンダへの避難を余儀なくされました。「私が直面した最大の困難のひとつは、教育を受けることでした」とアネットさんは言います。「母が何とか私を小学校と中学校までは通わせてくれましたが、私には他に4人のきょうだいがおり、全員を経済的に支えるには十分ではありませんでした」。母親が学費を払えなかったため、アネットさんは学校を中退しました。
2024年1月、彼女はノルウェー政府が資金援助したUN Womenのリーダーシップ・プログラムを通じて、難民の女性や少女のための研修の機会があることを知りました。「いくつかのコースがありましたが、私は大工仕事のコースに決めました」とアネットは説明しました。「季節に左右されず、確実な収入源になる仕事だからです」。
「私のコミュニティでは、大工仕事は男性だけの仕事だと思って敬遠する女の子が多いんです。私の母でさえ、最初は反対しました」と彼女は振り返ります。しかし、アネットさんはなんとか母親を説得し、自宅用の家具を作りました。「今では家族で座れるベンチがあります。以前にはなかったものです」。
聡明な起業家である彼女は、唯一の女性大工であることがビジネスを有利に進めると信じています。彼女は自分の大工工房を持ち、他の女性や少女を訓練するという夢を持っています。
「大工の分野でより多くの女性に力を与えることで、私たちは一緒に固定観念に挑み、成功するキャリアを築くことができるのです」と彼女は言います。