第5回:折笠福美さん UN Women アジア・太平洋地域事務所 プログラム分析官 (国連ボランティア)

2020年4月23日 実施

折笠福美さんは2019年4月よりUN Women アジア・太平洋地域事務所で国連ボランティアとして働いています。彼女のインタビューをぜひご覧ください。

   

  タイ、バンコク。Beijing+25会議にて。Photo by: Fukumi Orikasa 

【経歴】

ロチェスター大学・ジュネーブ国際・開発研究大学院卒業。国連女性機関で働き始める前は、国際NGOサーチ・フォー・コモン・グラウンド、国際移住機関(IOM)等で勤務。現在は国連ボランティアとして、UN Women アジア・太平洋地域事務所に派遣。


 

UN Womenで働こうと思ったのはなぜですか。

UN Womenは,国連機関の中で唯一「ジェンダー」に関する一義的なマンデートを持つ機関であるため。また,自分は,今後国連機関で正規職員となることを実現するために,

更なる国連での経験,特に国際社会におけるジェンダーによる暴力・差別についての撤廃・減少のための業務経験を積みたいと考えたこと,

自分の専門の幅を更に広げたいと考えたこと,

更には,自分は,国際社会の一員として,ジェンダーによる差別が解消されるよう努力することなしには,世界の平和と安定はなし得ないと考えていること,

により,UN Womenを選んだ経緯があります。

 

 

UN Womenでの仕事内容を教えてください。

 

第7代国際連合事務総長コフィー・アッタ・アナンとの面会。 Photo by:Fukumi Orikasa 

主な担当業務は,地域事務所における管理・監督に関わるものがほとんどでした。

担当業務の一例;

実施したプロジェクトに関するモニタリングの進捗管理とドナーに対する報告書作成。

地域及び国別事務所の通常予算プログラム,及び通常予算事業に係る最終報告書の作成支援・内容確認と、必要に応じての改訂作業支援。

UN Women本部支援の一環としての、国別・地域事務所の管理監督と新体制での業務支援。

国別・地域事務所支援業務の一環としての、ドナー等との連携,モニタリング及びドナーへの報告書作成支援等。

現地のNGOや民間企業等のドナーに対して,UN Womenがプログラムや事業を遂行する最も適切なパートナーであることを示すために,実績を上げること,そして,最終報告書作成業務(含む同報告書の内容・書きぶり等の精査・改訂業務)。

 

仕事での難しさや、やりがいを教えてください

自分の担当業務は,高度なコミニケーション力を駆使して,多種多様な関係者と良好な人間関係を構築しながら行う業務がほとんどでした。また,英語のレベルも極めて高いレベルが求められていました。その意味では,日々,チャレンジと緊張の連続でした。同時に,世の中にはいろいろな考え方,仕事の仕方,更には異なったバックグラウンドを持つ人がいるのも事実です。人間関係面での難しさには,常に直面していましたが,兎も角,自分としては,明るく,まじめに,且つ使命感を持って,取り組むようにしていました。

 


国連での仕事は厳しい面も多いかと思いますが、それでも成し遂げようというパワーの源は何ですか。

同僚とカオヤイ国立公園にて。Photo by: Fukumi Orikasa

自分には,福島県で教員として教育に人生を捧げた祖母,子供の頃人身売買で中国からマレーシアに連れてこられた祖母の二人がおり,その二人の姿が,自分の国連での仕事をするうえでエネルギーの源泉となっています。また,両親に連れられて,数多くの国々で生活をするばかりでなく,それぞれの国で実践したボランティア等の活動を通じて知り合った“社会的弱者”と言われるような人たち,そしてNGOのリーダー等との人間的な繋がりや思い出等が,自分が国連を目指す理由の一つです。そして,もっともっと,みんなのため,ひいては世界の平和と安定のために貢献したいと考えており,先ずは,現在の仕事に,最大限の努力をしようと思っていることが,今のパワーの源です。

 

 

これからの目標を教えてください

  

世界の平和と安定のために貢献していくために、現在の自分の短期的な目標は,正規国連職員になることです。JPO試験(※1)やYPP試験(※2)、更には空席公募などを通じて,目標を実現していきたいと思っています。そして,できれば,自分の大学院の専門,国際NGOでの経験等を生かして,NY乃至ジュネーブの国連本部事務局,できれば、DPPA(政治・平和構築局)やDESA( 国連経済社会局)等の部局で活躍したいと考えています。

 

UN Womenを目指す人にメッセージをお願いします

大学院の友達とジュネーブにて。Photo by: Fukumi Orikasa

The single story creates stereotypes, and the problem with stereotypes is not that they are untrue, but that they are incomplete. They make one story become the only story.”
― Chimamanda Ngozi Adichie
マチママンダ・ンゴジ・アディティエ女史

 

 

※1  JPO派遣制度とは:将来 国際機関で正規職員として働くことを志望する若手を対象に行われる制度であり、派遣者は各国際機関で一定期間(原則2年間)職員として働き、正規職員に必要な知識や経験を積むことができます。(詳しくは:https://www.mofa-irc.go.jp/jpo/seido.html

※2 国連事務局YPPとは:国連事務局の若手職員を採用するための試験です。年に一度試験が行われ、書類審査、筆記試験、面接を経て、合格した方はロスター(合格者名簿)に掲載されます。合格後は、ポスト(P1またはP2)の空き状況に応じて、ロスター掲載者の中から選考が行われ、ポストに採用されます。(詳しくは: https://www.mofa-irc.go.jp/apply/ypp.html