ジェンダー平等のための変革的な資金供給
課題
ジェンダー平等と女性の権利のための資金供給は、持続可能な開発目標(SDGs)達成のための中心的な課題です。北京行動綱領の近年20年間のレビューは、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントへの投資の不足が、懸念されている12の重要な分野における進捗が遅く、ムラがあることの原因になっていると認めました。
投資が不十分だと、ジェンダーに対応する法律や方針の実施が妨げられます。ジェンダー平等のために多くのリソースを使っていると見なされている国においてさえ、その分配は国家予算のたった0.5%から21.9%でしかありません。ジェンダー平等に関する国家行動計画の実施における資金供給ギャップは、しばしば90%にも上ります。政府開発援助(ODA)でも、ジェンダーを主要目的と捉えている援助は、全体の5%を占めるにすぎません。
ジェンダー平等への国家のコミットメントを完全に実施するための十分な資金の動員は、次のような多くの要因に阻害されています:(1)ギャップに関する証拠と、それに対応するジェンダーへのリソース配分の政治的コミットメントの不足、(2)ジェンダーを国家計画と予算策定プロセスに入れ込むキャパシティーの低さに関連し、財政政策とジェンダー平等という目標の間の繋がりの不足、(3)ODAや、民間、革新的な資金供給などその他の資金調達の流れの中でも、ジェンダー平等が十分に優先化されていない、(4)公共と民間のアクターに責任を持たせるための、説明責任と監視する仕組みの不足。
変革のためのわれわれの戦略
ジェンダー平等と女性の権利のための革新的な資金供給は、あらゆる分野とアクターの行動を必要とします。UN Womenはあらゆる資金源、及び全てのレベルにおいて、ジェンダー平等のための資金を動員するため4つの重要な成果を定めています:
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予算のジェンダーギャップ分析と、ODAや公共支出のインパクト・アセスメントと原価計算を通じて、ジェンダー平等に関する国家のコミットメントへの分配を増やし、実施するための政治的認識と合意を形成すること。ジェンダー平等活動家のリーダーシップ・キャパシティは、予算のジェンダー分析、議会の委員会、政策提言努力への参加を通して強化されるでしょう。
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ジェンダー平等のための収入と予算配分を優先させる、ジェンダーに対応する会計法、政策、国家行動計画などを促進すること。これは、累進課税政策や法的枠組みを開発し実施するための技術的な支援や、計画・予算プロセスの強化などを含みます。
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ドナーのジェンダーギャップの認識や分析能力の向上、モニタリングや追跡システムの強化により、ジェンダー平等のための追加の資金を動員すること。この努力には、民間セクターや革新的な資金調達の優先事項を、国家のジェンダー平等へのコミットメントの方針と合わせることで、リソースの動員をサポートすることなどが含まれます。
より大きな説明責任および公共配分と支払の透明性のため、マルチステークホルダー・パートナーシップや管理メカニズムの構築、またジェンダー活動家や女性関連組織の能力強化を通して、全てのアクターにジェンダー平等と女性のエンパワーメント(GEWE)へのコミットメントの実施責任を持たせること。
プログラムはどのように機能するのでしょうか。
プログラムは、国や地域のプロジェクトを通して実施されます。グローバル政策支援部は、国や地域おプロジェクトに助言や研究、データ収集、監視、傾向や学習の分析、および文書化、実践コミュニティーの召集などを含む技術支援を提供します。
変革のためのパートナーシップ
このような結果の実現を可能にする環境をつくるために、UN Womenは幅広いパートナーとの調整および実施機能を活用します。UN Womenはジェンダー平等のための資金供給の分野において、二国間、多国間、そして国家、地域、グローバルレベルの市民社会団体との多くの戦略的パートナーシップを有しています。UN Womenはこれら既存のパートナーシップを強化すると同時に、世界銀行、IMF、民間セクターなど重要な開発資金供給アクターとの新規のパートナーシップの構築を行います。
国レベルでは、プログラムは財務省、経済省、計画省と関連する省庁、女性対策やその他の国家の女性機構や地方政府との既存のパートナーシップを強化します。UN Womenはジェンダー平等に関するOECDのDACネットワークや市民社会・女性団体とも、戦略的な提唱イニシアチブにおいて引き続き協働し、知識の交換や、ドナーおよび国家のGEWEコミットメント実施についての説明責任を強化させます。UN Womenはまた、教育機関や研究機構、シンクタンクともパートナーシップを追求していきます。
事実 - ジェンダー平等への資金供給
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ジェンダー平等に関する国家行動計画の実施における資金供給ギャップは、90%にものぼります(UN Women 2015)。
- ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに特化して使われるのは、全体の支出の0.1%以下です(Government Spending Watch 2015)
- 2012-13年には、1年あたりわずか平均40億米ドルがジェンダー平等を主要な目的として設定され、これは選定された援助のうちの5%です。
- 2013年に女性の経済的エンパワーメントのために使われた二国間援助のわずか2%が、ジェンダー平等を主要な目的としていました。(OECD 2015)
- 140カ国、1,119の女性関連団体に関するグローバルな調査(2011)から、740の女性関連団体の2010年の収入の合計がわずか1億6百万米ドルであったことが分かっています(AWID 2013)。