日本政府拠出案件~アジア太平洋地域~ 暴力的過激主義の防止 ~エンパワーされた女性、平和なコミュニティ~
写真:UN Women/Snigdha Zaman
女性と女児は暴力的過激主義の影響を、男性または男児とは異なった形で受けています。大抵の場合女性たちは暴力的過激派集団の最初の犠牲者であり、多大なる被害を受けています。女性はまた、権利を抑制し生活の質に影響を与える可能性があるテロ対策政策の影響を受けています。より多くの女性と女児は、暴力的過激派集団に強制的にまたは自ら進んで加わり、他の男性及び女性をも勧誘する役割も果たしています。
しかし女性たちは、単なる犠牲者や加害者だけには留まりません。多くの女性たちが暴力的過激主義の防止活動の最前線に立ち続けています。彼女らの役割は多面的で、コミュニティや家族の価値観を形成し、潜在的な加入者の意思決定に影響を与え、テロリズムにつながる急進化の初期の兆候を特定かつ介入し、女性のイスラム教指導者は宗教的寛容を説き、異なる形式のマスメディアを利用して過激主義のプロパガンダに「対抗するメッセージ」を促進し、女性警察官は情報収集のために地域社会と関わっています。
しかしこれまで、国・地域・国際レベルの過程における女性の参加は十分ではなく、暴力的過激主義の予防と問題への対応策の枠組みの中での女性の役割は過小評価されてきました。
暴力的過激主義が抱えるジェンダーのダイナミクスに効果的に取り組み、急進化を防止し問題への対応の取り組みが女性の権利、エンパワーメント、参加、リーダーシップを考慮かつ優先することを確実にするために、UN Womenアジア太平洋地域事務所は、日本政府の支援の下、「Empowered Women, Peaceful Communities ~エンパワーされた女性、平和なコミュニティ~」事業を南・東南アジア(主にインドネシア、バングラデシュ、フィリピン、及びタイ)で2017年4月から2022年3月まで実施しました。危険にさらされているコミュニティに住む女性のように、脆弱な状況に身を置く人々を特に考慮に入れながら、強靭で結束した平和なコミュニティを構築するために必要な女性のエンパワーメントを促進するために、UN Womenはコミュニティの女性と協力して事業を展開しました。
本事業を通じてUN Womenは、国連事務総長の「暴力的過激主義を防止するための行動計画」の実施及び「持続可能な開発目標(SDGs)」の16番目の項目(平和と公正をすべての人に)と5番目の項目(ジェンダー平等を実現しよう)の達成に貢献することができました。また、本事業では日本人被害者も含むテロの悲劇に直面したバングラデシュとインドネシアを対象国に含める事により、アジア太平洋の平和と安全の実現に貢献しました。
2017年から2022年の事業実施期間中に達成した成果はこちら
UN Womenのアプローチ
アジアにおける急進化と暴力的過激主義を防止するためのUN Womenのアプローチは、強靭で結束した平和なコミュニティを構築するための女性のエンパワーメントの促進に基づいており、特に最も周縁化され脆弱な状況に身を置く人々を考慮に入れています。
UN Womenの取り組み
- 女性の経済的・社会的エンパワーメントを通じて、強靭なコミュニティを構築し、社会的結束を促進する
- テロや暴力的過激主義を防止し、問題に対抗する事を目的とするジェンダーに配慮した国家政策及び戦略の作成を推進する政府及び女性団体の能力を強化する
- 急進化に取り組むため、女性の意識と能力を強化することで女性の参加とリーダーシップを促進する
- ヘイトスピーチや急進化に関する情報が蔓延しているソーシャルメディア上で、平和と寛容を促進するために必要な「代替的なメッセージ」を広めるため、コミュニティの若い女性リーダーの情報リテラシー能力を高める
- エビデンス(根拠・証拠)を生み出し、知識と優れた取り組み例を共有し、南・南協力(開発途上国間協力)を促進する
- コミュニティ・国・地域、国際レベルで、政府・他の国連機関・市民社会・研究機関・及びシンクタンク等との戦略的パートナーシップを確立する
出版物(ナレッジ・プロダクト)
UN Women は本事業を通じて、2017年から2022年の事業実施期間中に取得した知識や成功例、調査結果を集め分析し、出版物を発行しました。この活動は国・地域・国際レベルにおけるエビデンス(根拠・証拠)の生成、知識の共有、及び優れた取り組み例の拡散に貢献する事を目的としています。
ビデオ
UN Women アジア太平洋地域事務所は、2017年から2022年の事業実施期間中にビデオを作成しました。日本語のサブタイトルが付いているビデオは以下からご覧いただけます。
- 「エンパワーされた女性、平和なコミュニティ~」事業紹介
- バングラデシュからのプログラム参加者の声
- インドネシアからのプログラム参加者の声
- フィリピンからのプログラム参加者の声
- 社会的結束を促進する若い女性リーダーの経験~バングラデシュの「女性平和カフェ」の活動を通じて~
- 女性とユースのためのデジタルリテラシー・トレーニング~タイ南部の国境地帯において~
- アニメーション「ジェンダーのアイデンティティ、規範、関係が暴力的過激主義に及ぼす影響」
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