日本政府拠出案件~南スーダン~
日本政府は女性の活躍推進を重要課題に掲げ、「女性が輝く社会」の実現に向け、国際社会との協力や途上国支援を行っています。UN Womenは日本政府と連携し、女性のエンパワーメント、参画、そしてヘルスケアや平和、安全保障といった分野において、アフリカ・中東の紛争地域を含め、多くのプロジェクトを実施しています。
UN Womenが日本政府の拠出協力のもとに行っている、南スーダン共和国におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント実現のための活動をご紹介します。
南スーダンにて女性の人道的ニーズに応える
南スーダンでは長く続く紛争の影響で、推定180万人が住む家を追われ、そのうち10万人は狭く生活に適さない避難民キャンプ、140万人は非公式の屋外集落での生活を強いられています。日々増え続ける避難民に対して基本的な生活必需品や保護を提供するための人道支援が行われていますが、特に母子家庭には支援が行き渡らない現状があります。結果的に、女性や子供を含め社会的に弱い立場にある人々が一番の犠牲者となっています。
2015年12月に南スーダン政府は、UN Womenによる人道的支援プログラム(2015-2017)を立ち上げました。日本政府による2年間で350万ドルに及ぶ拠出によって実施される本プロジェクトにて、UN Womenは特に被害の大きかった地域の6,000人以上の女性及び女児の救済にあたっています。
このプログラムの目的のひとつは、南スーダンで現在実施されている人道支援におけるジェンダー格差を是正することです。それに加えて、南スーダンの人道・災害対策省(Ministry of Humanitarian Affairs and Disaster Management)やその他の団体に対して、国内外からの人道支援計画や復興戦略全体に、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントの必要性と権利が適切にそして持続可能な形で組み込まれるよう技術支援・能力開発支援を行っています。
例えば、女性のエンパワーメントを目的とした複合施設の建設を支援しています。この施設は、女性が安全に集まれる場所として機能するだけでなく、人権、ジェンダーに基づく暴力(Gender-Based Violence: GBV)、性的搾取・虐待の防止(Prevention of Sexual exploitation and abuse: PSEA)、リーダーシップ、平和と和解、識字訓練や生計をたてるためのスキル、といったテーマのワークショップが実施されます。また、女性及び女児が、政府やNGOで適切な仕事に就く機会を拡大するため、必要なコンピューター操作能力を身に付けるべく、コンピュータールームが設けられます。
2016年2月には、南スーダンのジェンダー・子供・社会保障省(The Ministry of Gender, Child and Social Welfare)の協力のもと、紀谷昌彦駐南スーダン大使、マリア・ノエルUN Women本部計画部長が、プログラムの一環として、ビニールハウス、穀物製粉機、土壌表面や根群域に直接灌漑水を与えるための器具などの供与を行いました。
これらの取り組みは、国内避難を強いられている女性や受け入れ先のコミュニティーに様々な形で貢献します。例えば、貴重な野菜類の年間を通じた生産、女性及び女児の労働負担軽減、食料と収入など資源・資産に対する女性のアクセス向上、そして、家庭やコミュニティーにおける女性のレジリエンス(回復力)と意思決定参加の強化などに役立っています。
2017年2月6日、紀谷昌彦駐南スーダン共和国日本国特命全権大使は、UN Women南スーダン共和国事務所、Support for Peace Education and Development (SPEDP) 、南スーダン共和国政府補助教育局、パゲリ郡と共に、南スーダン・パゲリ郡のニムレで開催された修了式に出席し、日本政府が拠出したUN Womenのプログラムの修了生を祝いました。修了式に出席した修了生194名(女性154名、男性39名)は、日本政府が拠出し現地の非政府組織 (NGO) 5団体が実施した、UN Womenの2年間プログラムに参加し、機械学、仕立て業、ベッドシーツのデザイン、読み書き計算など様々な分野において研修を終えました。