HeForShe IMPACT 10x10x10 (インパクト テン・バイ・テン・バイ・テン)

HeForShe IMPACT 10x10x10

IMPACT 10x10x10」 (インパクト・テン・バイ・テン・バイ・テン)は、2015年、各国首脳10名、グローバル企業のCEO10名、そして大学の学長10名をインパクト・チャンピオンとして選び、トップからジェンダー平等に向けて変革を促すことを目指すプログラムです。各インパクト・チャンピオンは、その倫理感の高さ、公的なサービスの卓越性、グローバルレベルの活動、自らの影響力を用いる意志などが高く評価されて選出されています。インパクト・チャンピオンは、政府・企業・大学レベルにおいてジェンダー平等を優先課題とし、大胆かつ革新的な3つのコミットメント(約束)を策定し、組織の内外で実のある成果を出せるよう取り組んでいます。

Head of State IMPACT Champions

各国首脳10名のインパクト・チャンピオンの中には日本の安倍晋三内閣総理大臣も含まれています。以下の3つの核となる課題に取り組んでいます。

(1)UN Womenとのパートナーシップの強化

日本はUN Womenの確固たるサポーターおよびパートナーです。UN Womenへの日本の拠出金は2013年の10倍に増額され、2015年には東京に新しく事務所が開設されました。日本はUN Womenの主要貢献国の仲間入りをし、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの推進に向けて二者の関係をさらに強化していきます。UN Women日本事務所と緊密に連携を取りながら、UN Womenの日本での取り組みを推進し、G7では他国のリーダーにもHeForSheに賛同してUN Womenを支援することを奨励する役割を担っています。

(2)日本における女性のリーダーシップと雇用機会の拡大

過去2年間において、約100万人の女性が労働人口に参入し、管理職に就く女性の数が増加するなど、女性のエンパワーメントに関して重要な進展が見られました。この変化を加速させるため、日本は女性のキャリアアップを応援する政策パッケージに取り組んでいます。安倍総理は、301名以上の労働者を雇用するすべての公的機関および企業に対し、職場における女性の登用や参画を増大させるための行動計画の作成を義務付ける法案を提出しました。また、共働きの家庭を支えるため、日本は数多くの重要なイニシアティブに取り組みます。主な例として、保育所の定員増加や育児休暇の拡大などが挙げられます。政府は、2013年からの2年間で保育所の定員を20万人分増やし、2014年4月に新しい育児休暇の施策を導入するという目標を達成できるとしています。この包括的な解決策は、すべての日本の女性が職場や家庭、地域において輝くことを応援します。

(3)海外の紛争下における女性のエンパワーメントと性暴力の撤廃

2014年9月の国連総会における一般討論演説において、安倍総理は、21世紀を女性の人権侵害のない世界にするという日本の意向および誓いを表明しました。2015年、安倍総理は、平和・安全保障と性暴力の根絶という紛争地域での鍵となる2つの課題に焦点を当て、女性のエンパワーメントとジェンダー平等の推進のため、30億米ドルを越えるODAを実施する考えを示しました。日本は、女性・平和・安全保障に関する安保理決議第1325号の履行に関し、女性・平和・安全保障に関する行動計画を策定します。安保理決議第1325号 は、すべての関係当事者に対し、女性の参画を拡大し、国連の平和・安全保障活動のあらゆる面においてジェンダーの視点を採用するよう要請するものです。また、武力紛争下で、すべての紛争当事者に対し、 特にレイプやその他の性虐待といった性的暴力から女性と女児を保護するための特別な措置をとることを呼びかけています。今後も、国連のPKO活動と緊密に協力しながら紛争下の女性を保護し、ポスト2015年開発アジェンダの政府間交渉の際にジェンダー平等を強調するなど、日本は海外においても取り組みを進めていきます。

University IMPACT Champions

政府や企業とともに、大学がこのインパクト・トリオに選ばれたのは、若者を取り込むことでジェンダー平等達成に向けた動きを加速し、女性に対する暴力の廃絶に繋がると考えられるからです。選出された大学は、これまで大学における女性の地位向上や大学内での暴力廃絶、ジェンダーに配慮したキャンパスづくり、男女間の偏見の解消などに積極的に取り組んできました。5大陸8ヵ国からこの取り組みを推進する世界の10大学の一つとして、日本の名古屋大学が選ばれています。以下の3つの核となる課題に取り組んでいます。

(1)名古屋発!男女共同参画推進のためのセンター(拠点)を創設します

名古屋大学は、全国の国立大学に先駆けて男女共同参画推進のための全学委員会を組織し、男女共同参画室を開設するなど、日本の男女共同参画において主導的役割を果たしてきました。今回のIMPACT 10x10x10参加を機に、これまでの取り組みを継承、発展させる施策として、ジェンダー研究推進のための図書室を併設(予定)した男女共同参画推進のための拠点開設を計画しています。同拠点の開設は2017年を予定しており、開設後は、ジェンダー研究ならびに男女共同参画推進の最先端拠点として、国内外にその成果を発信していく予定です。

(2)2020年までに女性リーダー(女性管理職)20%への増加をめざします

名古屋大学は、女性枠による教員採用という独自の制度により、自然科学分野では女性のPI(研究代表者)の割合は、従来の約2倍に増えました。こうした施策の成功を受けて、博士課程女性学生向け育成プログラムの実施、及びメンターシッププログラムの充実を図りつつ、2020年には女性教員比率20%、教職員女性管理職比率20%(25%増)をめざします。

(3)男女共同参画推進のための産学官連携を推進します

2004年、名古屋大学は、愛知県で男女平等を促進するためのフォーラム「男女共同参画社会推進・産学官連携フォーラム」(会員:愛知県、名古屋市、愛知経営者協会、名古屋大学)を設立しました。IMPACT 10x10x10 同様、産学官の連携により、ジェンダー問題に関するセミナー、理系女子高校生のための進学推進セミナーなど、効果的なプログラムを実施してきています。今後は、女子学生のための効果的なキャリア支援、女性研究者のための共同研究の機会提供という2つを軸に、戦略的なプログラムを展開していくとともに、2020年までに、企業5社、5大学、10の公的外部資金の獲得、リーダーシップやメンターシップに関する20プログラムを実施することで、HeForShe、及び男女共同参画を推進していきます。

Parity Report (ジェンダー平等報告書)

これらコミットメント達成には、進捗状況の透明性と成果評価がとても重要であり、ジェンダー平等報告書は、成功事例をお手本として世界の政界、実業界、学術界と共有することを目的としています。今年1月にダボス会議にて、IMPACT 10x10x10 企業10社が、初めてHeForShe ジェンダー平等報告書を発表し、その中では、自社の管理職と取締役会に関する詳細など、従業員のジェンダー多様性に関する新しいデータを開示しました。