女性と女児に対する暴力:影のパンデミック(世界的大流行) - 仮訳

プムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women(国連女性機関)事務局長声明

日付: 2020年4月7日

202046日月曜日(NY時間)

90か国がロックダウン(都市封鎖)状態にある中、40億人がCOVID-19から身を守るため自宅待機となっています。これは人々を保護する手段であると共に大きな危険をもたらします。女性に対する暴力という隠れたパンデミック(世界的大流行)が増加しています。

感染と都市封鎖を報告する国が増えると共に、ドメスティックバイオレンス(DV)ヘルプラインやシェルターに助けを求める声が増えています。アルゼンチン、カナダ、フランス、ドイツ、スペイン、イギリス、アメリカの政府機関、女性団体、市民社会関係者はDV報告の増加と緊急保護施設(シェルター)設置を増やす必要性について注意喚起しています。シンガポールとキプロスにおけるヘルプラインへの相談は30%増加しています。オーストラリアのニューサウスウエールズで調査を最前線で行っている40%の人たちは、エスカレートする暴力に対し、助けを求める声が増加していることを報告しています。

安全・健康・経済的な不安からくる緊張と負担が、家等に閉じ込められる状況により助長されます。そして暴力をふるうパートナーと向き合う女性たちの孤立を増やし、必要な助けから遠ざけます。閉ざされた空間で相手を支配し暴力的なふるまいが頻発します。同時に医療崩壊が間近に迫る中、DVシェルターも受け入れ態勢に限界がきており、さらなるCOVID-19対応のために提供するサービスにも影響がでています。

COVID-19が発生する前から、DVは最大の人権侵害の一つでした。過去12か月で2.43億人の世界中の女性と女の子(15歳から49歳)が身近なパートナーによる性的・身体的暴力の対象となっていました。COVID-19の流行が続く中、女性の幸福度、性と生殖に関する健康、メンタルヘルス、社会と経済の復興に参加し主導する能力などへの様々な影響と共に、暴力を受ける人数も増えるでしょう。

暴力を経験した女性が助けを求めたり、告発するのは40%以下にすぎず、多くのDVや他の形の暴力が報告されない中、データの収集は困難でした。救済を求めた女性でも10%以下しか警察に届けません。女性や女の子の通報手段へのアクセスが制限され、警察、司法、行政等が混乱する中、現状ではさらに救済を求めることは困難となります。これらの混乱は暴力のサバイバーが必要である支援、例えばレイプに関する臨床管理、精神保健、心理社会的支援にも影響があります。犯罪者の不処罰にも繋がります。多くの国では法律は女性側にたったものではありません。世界で4か国に1か国は女性をDVから守る特定の法律がありません。

もしこの隠れた影の大流行に取り組まなければ、既にあるCOVID-19の経済的インパクトに更なる悪影響を及ぼします。女性に対する暴力の世界的な経済的コストは約1.5兆米ドルだと推定されていました。女性に対する暴力が増加する中、このコストはさらに増えるばかりでありパンデミックが終わった後も続きます。

女性に対する暴力増加への対策は、複合的な差別を受ける女性のニーズと課題の深刻度、規模に配慮した経済的支援、景気対策と共に早急に取り組まなければなりません。国連事務総長はすべての政府に対し、女性に対する暴力の予防と是正を国のCOVID-19対策の主要な部分とすることを求めました。すべての国において、女性のためのシェルターやヘルプラインは機能を継続する最低限の業務とし、そのための予算配分を行い、その存在を広く知らしめなければなりません。

過去の危機において草の根の団体、女性団体、市民社会は防止と対策において重要な役割を果たしました。これらの最前線で働く団体に資金を含め長期間にわたって支援していかなくてはなりません。ヘルプライン、心理社会的サポート、オンライン相談を増やし、ショートメッセージサービスなどテクノロジーを使ったオンラインやSNSによる社会的な支援を強化すべきです。また、電話やインターネットにアクセスのない女性たちに手を差し伸べなくてはなりません。女性と女の子への暴力事案が優先的に扱われ、加害者が不処罰とならないよう警察や司法サービスを動員しなければなりません。

COVID-19は我々にかつてない試練を与え、乗り越えることが難しい感情的・経済的ショックを与えています。暴力はこのパンデミックの暗い特徴として表れていますが、これは我々の価値観、強靭性、共有する人間性への挑戦であり鏡です。我々はコロナウイルスから生き残るだけではなく、女性が復興の中心・強力な力となって、新たに立ち上がらなければなりません。

本文はこちらからご覧ください(英語):https://www.unwomen.org/en/news/stories/2020/4/statement-ed-phumzile-violence-against-women-during-pandemic