スピーチ: 女性の参画は権利であると同時に、より良い結果をもたらす機会でもある

日付: 2022年4月15日金曜日

7 APRIL 2022 米国東部標準時

国連事務次長兼UN Women (国連女性機関)事務局長のシマ・バホス氏による、ウクライナの平和と安全の維持に関する国連安全保障理事会の会合での発言。

(以下のように演説しました)

はじめに、私はすべてのウクライナ人、すなわち女性や女児、男性や男児、安全な場所へと避難した人たちや在留した人たちへの敬意を表したいと思います。愛する人を失ったすべての家族に、私は心から哀悼の意を表します。この戦争は止めなければなりません。今すぐに。

 UN Womenのシマ・バホス事務局長、国連安全保障理事会でウクライナの平和と安全の維持についての説明。写真 UN Photo/Manuel Elías.

(以下のように演説しました)

私は昨夜、モルドバからニューヨークに戻りましたが、そこではウクライナでの理不尽な戦争の結果が顕著に表れていました。モルドバは、正に「小さな国に大きな心」と表現される国です。モルドバでは、新型コロナウイルスの大流行が続いており、国の開発優先事項を達成する決意をした最中であったにもかかわらず、ウクライナの砲撃や銃から逃れる大半である女性、子供、高齢者の人々のために国境を開放し、居場所を提供しました。現時点でモルドバでは、推定9万5千人のウクライナ人が国内で受け入れられています。戦争が始まって以来、さらに何千、何万という人々が国境を越えて移動しています。

モルドバで私が訪れたいくつかの仮設住宅では、疲れ果て、不安に駆られ、恐れて、涙する母親たちが、自国や娘や息子、そして家族の将来について、不安を語ってくれました。オデッサ出身の少女、タチアナさんは、自分の町は美しいと言いました。彼女は医者になるのが夢で、その勉強を突然中断させられ、逃げなければならなくなったのです。彼女と彼女の仲間たちは、決意と強靭さを示すために、教師の助けも借りながら、オンラインで学校教育を続けています。タチアナさんは、この戦争で自分の夢を壊してはいけないと決意しています。

7歳くらいの男の子ビタリくんは、故郷の街をパトロールするために残った父親が心配で眠れない夜を過ごしていると話してくれました。

私は、女性や子どもを乗せたバスが、疲れと恐怖を抱えながらパランカ国境に到着するのを目撃しました。そこでは彼女たちは、私たちUN Women　が支援している市民社会組織のボランティアたちによって、尊厳と思いやりをもって迎え入れられました。

私は女性の市民社会グループグループから、一晩で彼女たちの活動をどのように調整したかを聞きました。新型コロナウイルスとエネルギー危機という2つの緊急事態に対処していたのが、3つ目の緊急事態に対応したのです。彼女たちは政府と協力し、基本的なニーズが満たされ、様々なサービスが提供されるように活動しています。彼女たちは、特別な人道的対応訓練を受けずに、このような活動を行っています。UN Womenは、彼女たちのの要請に応じて、この活動を支援しています。

UN Womenは、難民対応チームや市民社会のパートナーと協力し、この危機のジェンダーの側面の側面の側面対して、ジェンダーに配慮した対応で取り組めるように、私たちの任務(マンデート)である調整に基づいて行動しています。具体的には、保護に焦点を当てたサービスの提供や、私が目の当たりにした、夜間に家を出た若い女性、離ればなれになった家族、将来への絶え間ない不安といった、トラウマや心理的、社会的支援のニーズの高まりに対応することが含まれます。このトラウマが世代を破壊してしまう危険性があります。私たちは支援を続けなければなりません。しかし、最も重要なことは、平和を推進するためのあらゆる取り組みを継続することです。

私は、民間人や国連の市民社会パートナーも犠牲になった最近のクラマトルスク駅への攻撃を、強く非難します。駅で殺害された人々は、私が国境で出会った人々と同じように、安全を求める女性、子ども、高齢者です。人道主義者は標的であってはなりません。同じく、一般市民も標的であってはなりません。

レイプや性的暴力について耳にすることが多くなっています。これらの疑いは、正義と説明責任を果たすため、独立して調査されなければなりません。大量移住と徴集兵や傭兵の大きな存在、そしてウクライナの市民に対して示された残虐性が組み合わさり、すべての危険信号が発せられています。この名誉ある国連安全保障理事会は、水曜日に紛争下での性的暴力に関する内容を国際連合事務総長特別代表から、詳しい話を聞く予定です。

このような大規模な戦争は、ウクライナの国境をはるかに超えて世界に影響を及ぼします。それから、私はモルドバ政府と国境警察から、国境通過を監視するための支援を強化する必要性を聞きました。状況が絶望的になるにつれて、人身売買のリスクは高まっています。若い女性や同伴者のいない10代の若者が特に危険にさらされています。

私はすべての国に対し、人身売買対策への取り組みを強化するよう求めるとともに、人身売買の予防についてすべての受け入れ国が協力を行うことを称賛します。また、すべての国に対し、モルドバやその他の国が、ジェンダーに基づく暴力や人身売買の被害者への支援を確保できるよう、警察へのリソースの強化を支援することを求めます。

ジェンダーに配慮し、生存者を中心とした対応は、すべての人道的行動の中心になければなりません。

このような恐怖の中、女性はウクライナの地元地域社会で活躍し、国内避難民を支援し続けています。ウクライナの医療・福祉従事者の80％は女性であり、その多くは避難しないことを選択しました。キエフ周辺に爆弾が落ちる中、ヴェルホヴナ議会で職務を全うし続ける女性国会議員がいます。また、副首相(注　女性)が人道的対応に従事しています。私は、モルドバにいる難民のウクライナ人女性も避難所で働き、互いに支え合う役割を担っているのを目にしました。

ウクライナ国内の女性団体は活動を停止しているわけではなく、支援対象者の差し迫ったニーズに応えるために活動を調整しています。彼女たちは、自分たちの命を危険にさらしながら、活動しているのです。戦争が始まる前、戦争中、戦争が終わった後もウクライナ国内に留まることでしょう。私は、彼女たちの勇気と確固たる意志に敬意を表します。彼女たちは、私たちの継続的な支援が必要です。

女性のための平和と人権基金は、ウクライナとモルドバの最前線にいるいくつかの女性団体をすでに支援しており、障害やHIV/エイズを抱える女性や少女を含む避難民へシェルター、薬、食料、心理的社会的支援を行っています。基金は、これらの団体を維持するための制度的支援も行っています。あなたの助けがあれば、私たちはもっと多くの支援を行うことができます。

私が出会ったウクライナ人の男性、女性、子どもたちは皆、必ずと言っていいほど、「故郷に帰りたい」という夢を持っていました。しかし、昨日聞いた話では、多くの人が帰る家を失いました。

私はこの理事会に、平和のためにあらゆる手段を使い続けることを求めます。UN Women独自の迅速なジェンダー分析から、女性たちが解決の一端を担うことを求めていることが明らかになっています。避難所にいる女性たちから、彼女たちもリーダーシップを発揮し、受け入れ国での難民対応を支えているという話を聞きました。彼女たちの多くは、ウクライナ国内で国内避難民を支援している他の女性やその友人、家族と連絡を取り合っています。

私たちはこれまでの経験から、女性の参加によって支援と復興がより効果的かつ持続的になることを知っています。また、女性団体は女性だけでなく、社会から疎外された弱者グループを支援する特別な立場にあるのです。危機対応や平和に関連するすべての決定において、彼女たちに意見を求め、参加してもらうことが極めて重要です。彼女たちを被害者としてだけでなく、変化の担い手、リーダーとして見る必要があります。

今回の安全保障理事会では、平和と安全に関するあらゆる決定や交渉に女性が意味を持って関与することを求める決議が10件採択されており、女性の関与は権利であると同時に、より良い結果をもたらす機会であることが明白です。ジェンダーに基づく差異をこれほどまでに顕著に示している戦争において、女性の意義ある関与は特に重要です。このことを忘れてはなりません。私は、女性のリーダーシップがもたらす影響を目の当たりにしてきました。ところが、現在の交渉の場では、女性はほとんど存在しないのです。

私たちはこの安全保障理事会、すべての加盟国、そして開発・人道支援パートナーに対し、疎外されたグループを含む女性と女児が、平和、外交、人道のすべての意思決定プロセスに意味のある参加ができるよう要請します。これなくして、平和、開発、人間の安全保障は実現できません。

最後に、私たちは事務総長が繰り返し訴えている平和、敵対行為の即時停止、ウクライナ領からのロシア軍撤退を強く支持します。

モルドバの避難所から来た少女、タチアナさんを支援し、医学の学位を取得できるようにし、母国の将来の一翼を担えるようにしなければならない。

戦争は止めなければならない。今すぐに。

感謝の意を表します。