2024年、4カ国に1カ国が女性の権利に関する揺り戻しを報告しています

日付:

2025年3月6日

国際女性デーにあたり、UN Womenはすべての女性と少女の権利、エンパワーメント、そして平等のために立ち上がるよう、みなに呼びかけます。

 

女性と少女の権利は、差別の深刻化から法的保護の弱体化に至るかつてない世界中の脅威の増大と、女性を支援し保護するプログラムや機関への資金援助の減少に直面しています。

3月8日の国連第50回国際女性デーに先立ち発表されたUN Womenの最新報告書『北京から30年を振り返る女性の権利』によると、2024年には世界各国政府の4分の1近くが女性の権利に対する揺り戻しを報告しています。

重要な進展があるにもかかわらず、女性が指導者となったことのある国はわずか87カ国にすぎず、10分に1人の割合で、女性や少女がパートナーや家族によって殺されています。 デジタル技術と人工知能は有害な固定観念を広め、デジタル空間のジェンダー格差は女性の機会を制限しています。

過去10年間で、世界は紛争下で暮らす女性と少女の数が50%増加するという不穏な事態を記録し、女性の権利擁護者たちは日々嫌がらせや個人攻撃、さらには死に直面しています。新型コロナ感染症、気候変動による緊急事態、食料・燃料価格の高騰など、最近の世界的な危機は、対応への緊急性を増すばかりです。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は次のように述べています。

「女性と少女が立ち上がることができれば、私たちみなが繁栄します。しかし、世界的に女性の人権は攻撃されています。平等な権利が主流になるどころか、ミソジニー(女性に対する嫌悪や蔑視)が主流になりつつあります。私たちはともに、すべての女性と少女、すべての人々のために、そして、あらゆる場所で人権、平等、エンパワーメントを実現するために、断固として立ち向かわなければなりません。」

また、シマ・バフースUN Women事務局長は次のように断言しました。

「UN Womenは、すべての女性と少女が、あらゆる場所で、その権利と自由を完全に享受できるようにすることを約束します。ジェンダー平等と女性のエンパワーメントには複雑な課題が立ちはだかっていますが、私たちは揺るぎなく、野心と決意をもって前進しています。女性と少女は変化を求めており、それは彼女たちが当然手に入れるべきことなのです。」

2025年は、女性の権利に関する最も先見的なロードマップである「北京宣言と行動綱領」の採択から30周年にあたります。国連事務総長に寄せられた159カ国の政府からのフィードバックをもとに作成された報告書『北京からの30年を振り返る女性の権利』には、1995年以降、女子の教育において平等が達成され、妊産婦死亡率は3分の1まで低下したという、認識すべき進歩が記されています。議会における女性の代表は2倍以上に増え、各国は差別的な法律を撤廃し続けており、1995年から2024年の間に189の国と地域で1,531の法改正が行われました。 本報告書は、女性の権利が自国で完全に支持されれば、家族、地域社会、経済が繁栄することを示しています。

しかし、ジェンダー平等を達成し、持続可能な開発のための2030アジェンダに近づくためには、まだ大きな努力が必要です。だからこそ、この報告書では、新たな「北京+30行動アジェンダ」を取り上げており、そのアジェンダは、次のような行動に焦点を当てることによって、やり残したことをやり遂げるための勇気あるロードマップとなっています。

  1. すべての女性と少女のためのデジタル革命: 私たちは、テクノロジーへの平等なアクセスを確保し、女性と少女がAIとデジタル・イノベーションをリードできるようにし、彼女たちのオンライン上の安全とプライバシーを保証しなければなりません。
  2. 貧困からの解放: 包括的な社会保護、国民皆保険、教育、堅牢なケア・サービスへの投資は、女性と少女が成長するために必要であり、また、それにより何百万ものグリーンでまっとうな雇用を創出することができます。
  3. 暴力をゼロにする:  各国は、あらゆる形態の女性と少女に対する暴力をなくすための法律を採択し、実施しなければなりません。また、対応と予防の最前線に立つコミュニティベースの組織への支援を含む、十分な資源を備えた計画を策定する必要があります。
  4. 完全かつ平等な意思決定権:ジェンダー・クォータ制のような一時的な特別措置は、女性の参画を急速に拡大する上で有効であることが証明されています。
  5. 平和と安全保障: 女性、平和、安全保障に関する国家計画やジェンダーに対応した人道支援には十分な資金が不可欠です。最前線に立つ女性組織は、危機に最初に対応することが多く、永続的な平和を構築するためには、それに特化した持続的な資金提供を受ける必要があります。
  6. 気候正義: 私たちは、気候変動への適応において女性と少女の権利を優先し、彼女たちのリーダーシップと知識を重視し、新たなグリーン・ジョブから利益を得られるようにしなければなりません。

これら6つの「行動」において、若い女性と少女を取り組みの中心に据えることが、今日と未来の成功を保証する最善の方法です。これら6つのプラスワン行動には、女性の権利に関する進歩を解き放ち、私たちを2030年に向けて軌道に乗せる可能性があります。

「北京+30」の記念行事と、間もなく開催される女性の地位委員会(CSW69)は、この「行動アジェンダ」を国家政策、地域戦略、そして世界的な合意に盛り込むための明確な機会です。

女性と少女にとって極めて重要な年であり、同時に、かつてないほどの反発と危機の年でもある今年、すべての女性と少女が平等な権利と平等な機会を享受できる世界を実現するために、女性の権利を前進させましょう。私たちは、平等な世界に生きることのできる最初の世代になれるのです。

UN Womenの報告書はこちらからご覧いただけます:https://www.unwomen.org/en/digital-library/publications/2025/03/womens-rights-in-review-30-years-after-beijing