JICA主催WAW!2016サイドイベント「平和構築と災害リスク削減におけるジェンダー主流化の推進:女性の参画とリーダーシップ発現に向けて」に、福嶌香代子UN Women日本事務所長が登壇

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12月12日(月)、福嶌香代子UN Women日本事務所長は、JICA市谷ビル国際会議場にて開催されたWAW!2016サイドイベント「平和構築と災害リスク削減におけるジェンダー主流化の推進:女性の参画とリーダーシップ発現に向けて」に登壇しました。

本イベントは、JICAが昨年よりジョージタウン大学女性・平和・安全保障研究所と開始した共同研究「平和構築と災害リスク削減におけるジェンダー主流化」の成果発表を行い、平和構築と災害リスク削減の分野での女性のリーダーシップと参加の促進における開発機関の役割を追究しつつ、各開発途上国の経験と知識を共有することを目的に開催されました。

オープニングセッションでは、メラニー・バービア ジョージタウン大学女性・平和・安全保障研究所所長と加藤宏JICA理事が冒頭スピーチを行い、共同研究の意義と同シンポジウムのテーマに関する課題などについて触れ、同シンポジウムでの議論への期待を表明されました。

その後、福嶌所長が登壇し、まず防災の分野について次のように述べました。日本で採択された仙台防災枠組がジェンダー平等を重要な要素と位置付けたように、何年間にもわたる政策提言の効果が見えてきた今、災害リスク削減と気候変動適応の政策とその策定に、「なぜ」ジェンダーの視点を統合するのかではなく、「どのように」そして「どれだけ早く」統合できるのかを問いかけることが大切だ、と述べました。

加藤理事(左)、バービア所長(中央)、福嶌所長(右)

そして、災害における女性の脆弱性や、平常時のジェンダー不平等が与える影響、災害リスク管理における意思決定過程への女性の参画の欠如など、基礎的な事項に触れた上で、UN Womenの具体的な取り組みを説明しました。例えば、気候変動に伴う災害リスクにおけるジェンダー不平等へ取り組む、UN WomenのGender Inequality of Risk (GIR)フラッグシップ・プログラム・イニシアチブは、人命と生活手段の損失におけるジェンダー不平等を緩和し、気候変動により発生する自然災害に対する地域社会のレジリエンス(強じん性)と回復力を強化することを目的とし、現在はバングラデシュ、ネパール、ハイチ、バヌアツ、タジキスタン、そしてパキスタンで実施されています。GIRは、目標達成のために、ジェンダーに配慮した災害リスク管理に役立つデータと証拠や、ジェンダーに配慮した災害リスク管理政策とプランを策定する政府のキャパシティや予算、女性の社会保障及び保険へのアクセス、そして女性の災害リスク管理への積極的な参加を確保することを目指しています。

続いて、平和・安全保障の分野に関し、UN Womenが北京行動綱領や女子差別撤廃条約に加えて、女性が平和構築に参画し、人権侵害から保護され、差別を撤廃するため司法やサービスにアクセスできることを求めた、女性・平和・安全保障に関する国連安保理決議第1325号(2000年)とそれを支持する一連の安保理決議を指針としていることを強調しました。UN Womenは、紛争の防止と解決に向けた政策決定過程で女性が参画し、影響を与えられるよう、世界各地で活動しています。また、福嶌事務所長は、UN Womenが国連加盟国による同決議の国内行動計画の策定と実施を支援をしていることと、日本の行動計画の実施におけるJICAの重要性も指摘しました。

その後、田中由美子JICA国際協力専門員の司会により、災害リスク削減におけるジェンダー主流化と、平和構築における女性のリーダーシップ及び参画の促進についての2種類のパネルディスカッションが開催され、活発な議論が行われました。

Photo:JICA