UN Women/UNFPA共催「女性に対する暴力撤廃の国際デー」記念上映会を開催

ノーベル平和賞受賞コンゴ人医師ドキュメンタリー映画「女を修理する男」から考える女性に対する暴力撤廃―私たちには何ができるか?

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1125この日は、国連が定める「女性に対する暴力撤廃の国際デー」です。世界中では女性の3人に1人が身体的、精神的、もしくは性的暴力を受けていると言われています。このような状況を打開すべく、国連は毎年1125日(女性に対する暴力撤廃の国際デー)から1210日(人権デー)までを、女性に対する暴力撤廃の16日間として定めています。本年1125日、女性に対する暴力撤廃の16日間の開始を記念して、UN WomenUNFPAと共催で、ノーベル平和賞受賞コンゴ人医師のドキュメンタリー映画「女を修理する男」上映会を開催しました。

 

「女を修理する男」は、4万人以上の性暴力の被害を受けた女性たちを治療した功績で今年10月にノーベル平和賞を受賞した、コンゴ民主共和国出身の婦人科医デニ・ムクウェゲ医師による命がけの治療を追ったドキュメンタリー映画です。

 

 

映画上映の後、映画で語られていた印象的な言葉をもとに、トークセッションが行われました。ここでは、フリーアナウンサーの有働由美子氏がモデレーターを務める中、UN Women日本事務所長の石川雅恵をはじめ、UNFPA東京事務所長の佐藤摩利子 氏、BuzzFeed Japan創刊編集長の古田大輔氏、EMPOWER Project共同代表の飯山智史氏がパネラーを務め、国際的な課題から日本国内での課題など、様々な観点から意見が交わされました。

 

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石川雅恵 UN Women日本事務所長   Photo: UN Women Japan

 

女性に対する暴力撤廃の必要性について、石川所長は「私たちすべての人間は暴力のない生活を享受できる権利を持っています。これは基本的人権のひとつであり、つまり、女性や女児に対する暴力は明らかな人権侵害です。」と述べ、さらに「女性に対する暴力は身体を傷つけるだけではなく、精神的にも影響し、それは個人だけでなく家族やコミュニティー、国などにも影響を及ぼす大きな損失です。これは、人類が英知を結集して撲滅すべき課題です。」と強く訴えました。女性に対する暴力について、古田氏は「暴力は相手を対等な人間とみなしていないことから起こる犯罪です」と述べ、日本のジェンダーギャップ指数が144か国中114位と低い評価となっていることを指摘しました。身近なところに女性や女児に対する暴力が蔓延している現状に対して、佐藤所長は「おかしいなと疑う心が大切。そう思ったら是非話してほしい。話さなければ、アクションを起こさなければ、それは加害者と同じ。小さいことから始めるのが大切。」と述べました。

 

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佐藤摩利子 UNFPA東京事務所長   Photo: UN Women Japan

 

現在、日本で”EMPOWER Project“を立ち上げ、協力者カミングアウト(従来のように手助けが必要な人々がマークをつけるのではなく、手助けできる人がマークをつけて協力できることを発信するプロジェクト)を推進している飯山氏は「社会に貢献できるという経験がエンパワーメントにつながるのではないか」と自身の活動経験を踏まえて述べました。

 

お仕事の経験上様々な人の意見を聞いてきた有働氏は、女性に対する暴力に対する日本の低い意識について指摘し、「第三者が動くには、どのようにすれば良いか」と問いかけました。

 

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フリーアナウンサー 有働由美子 氏   Photo: UN Women Japan

 

これには、古田氏が、「性暴力の被害者に身内を重ねることで、いつでも自分や自分の周りに起こるかもしれないと考えることができる。そうすれば、(女性に対する暴力の現状を)根本から変えようとすることができるはず。」と回答し、会場も頷く様子が見られました。

 

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BuzzFeed Japan創刊編集長 古田大輔 氏   Photo: UN Women Japan

 

このような現実を知った中、私たちには何ができるかという有働氏の問いかけに対して、石川所長は、HearMeToo~私の声も聞いて~」という女性に対する暴力撤廃の国際デーのテーマに示されているように、暴力を受けた方々の声を聞くことが大事であると述べました。さらに、UN Womenがネパールで行っている性暴力を受けた方々の声をドキュメントにして保存する活動を紹介しました。この様な活動について、「忘れないようにすることが一つの救済であり、尊厳の回復でもあると思います」と語りました。また、佐藤所長は、サバイバーたちは声を上げることが困難である状況に対して、UNFPAUN Womenが行っているセーフ・スペース設置の支援を紹介しました。この支援に対して「心を休めて、そこから余裕が出てきたら声を上げてもらう、沈黙を破ることで心の痛みが癒えてくるのではないか。」と述べました。有働氏は「性暴力からの復帰は、ものすごく繊細で時間がかかり、いつ完治するかはっきりとしたところがない」とコメントを述べ、性暴力からの回復の難しさに言及しました。このような現状に対して「結構身近な人も被害を受けていることが活動を通して分かってきた。属性に関係なく、困ったときに声を上げられる世界を”EMPOWER”は目指している」と飯山氏は意気込みを語りました。

 

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EMPOWER Project共同代表 飯山智史 氏   Photo: UN Women Japan

 

「強い意志を持って、小さいことから進めていきたい」という有働氏の言葉にあったように、会場からは、この日のトークセッションの議論を受け、一人ひとりがリーダーとなって、女性や女児に対する暴力撤廃のために動くと決心したことを会場から感じることができました。

 

参加者からは、

女性に対する暴力がこれほどひどいものとは思っていなかったので衝撃的だった。」

「今まで日本の文化に浸っていて気付かなかったあるべきでない言論などを知ることができ、とても有意義でした。メディア界の様子を知ることができたのも興味深かったです。」

「外国でおきていることとしてではなく、自分のこととして思える人が多くなればいいと思いました。」

「遠い国のことではなく、戦争になれば私自身や娘や孫にも起こりうること思い、活動しなければと思いました。」

などの感想が寄せられました。

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