UN Women・UNESCO共同声明「2月11日『科学における女性と女児の国際デー』に向けたプムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長、オドレ―・アズレーUNESCO事務局長からのメッセージ」
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近年、世界の若い女性や女児が、気候変動に立ち向かうよう世界各地で声を挙げています。スイスに集まった世界経済フォーラムの参加者に対して、スウェーデンのグレタ・トゥンベルクさん(16歳)は、「家が火事になったと思って行動してください」と訴え、同年代の悲痛な思いを代弁しました。
急速に進化してゆく世界における破壊的な変化に解決策をもたらすためには、女性や女児の声、そして科学、テクノロジー、イノベーション(技術革新)などの専門知識が必要不可欠です。私たちは、一刻も早くSTEMと呼ばれる科学、テクノロジー(技術)、エンジニアリング(工学)や数学の分野におけるジェンダーギャップを解消し、これらの分野におけるキャリア構築に向け、ジェンダー平等を活発に促進する必要があります。
STEMのスキルは、最も成長している職業分野の基礎を形成しています。最新の調査では、世界の雇用市場の変化が、5800万人の新しい純雇用をもたらすと示しています。とりわけ、データ分析官や科学者、人工知能(AI)や機械学習の専門家、ソフトウェアおよびアプリケーションの開発者や分析官、データ可視化スペシャリストなどが挙げられます。
しかし残念なことに、エンジニアなどの重要な職業において、女性の職業定着率や昇進、産休後の再復帰の割合の低さが明らかになっています。世界経済フォーラムが発表した「The Global Gender Gap Report 2018」では、女性の人工知能専門家が世界でたった22%しかいないこと等の例が挙げられています。このように大きく開いたジェンダーギャップは、ジェンダーに基づく仕事の差別や、不利な労働条件など重大な問題に影響してしまいます。
これらの障壁に立ち向かうことに加えて、ネットワークやパソコンへの接続(デジタル・コネクティビティ)や手頃なテクノロジーへのアクセスを促進することは、STEM分野における平等を一層確実なものにし、女性や女児が科学者、学生、そして市民として十分に利益を享受することを可能にします。
UN Women(国連女性機関)とUNESCO(国際連合教育科学文化機関)は、STEM分野やデジタル・テクノロジーにおけるジェンダーギャップの縮小に向けて、世界各地のパートナーとともに取り組みを行っています。
UN Womenの取り組みの一つは、Women’s Empowerment Principles(女性のエンパワーメント原則。以下、WEPs)に見られます。この原則は、デジタル分野、情報、コミュニケーション・テクノロジー、科学技術やイノベーション、STEAM(STEMにアート、デザインを含む)に携わる企業に、職場や市場、コミュニティにおける女性のエンパワーメントのための具体的な方針を提案しています。UN Womenは、ジェンダー平等や女性の経済的エンパワーメントに取り組みたいと考えている企業に対して、WEPsへの署名と、署名宣言の実施を呼びかけています。
不平等の解消に取り組むには、早期の教育改革が必要です。そのため、UNESCOではSTEM科目への女児の興味を掻き立てることや、学校のカリキュラムにおけるステレオタイプを克服し、女性のメンターへのアクセスを増やすような取り組みを行っています。さらに、私たちは「ロレアル‐UNESCO科学における女性プログラム」や「科学における女性のための団体」などのイニシアティブを通じ、奨励制度、人脈形成、メンター制度などの機会を世界の女性研究者に提供することにより、科学分野で活躍する女性を応援しています。最後に、STEMやジェンダーを促進するプロジェクトは、性別データの収集によって、国内の科学やテクノロジー、イノベーション政策や戦略、計画や法制度にジェンダー平等を包括するのをサポートしています。
これらすべてのイニシアティブを通して、私たちは次世代の女性や女児の科学者を奨励し、現代の主要なジェンダー課題に取り組むことを決意しています。グレタ・トゥンベルクの訴えに耳を傾けてみると、干ばつによる影響を最小限に抑える発明をした南アフリカの10代のキアラ・ニルギンなどの若い女性科学者たちは、既に気候変動への取り組みを通して変化を起こそうとしています。
科学分野におけるすべての女性や女児のクリエイティブさやイノベーションを活かし、包括的なSTEM教育や研究や開発、科学、テクノロジー、イノベーション・エコシステムに適切に投資することで、私たちは、第4次産業革命の可能性を利用した、社会に利益をもたらす前例のない機会を得ることができるでしょう。
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