ウクライナの法律専門家ラリサ・デニセンコ(Larysa Denysenko)さんの言葉：「性的暴力は、脅迫、拷問、屈辱の戦術である」

2022年6月17日米国東部時間

原文はUN Womenの欧州・中央アジア地域ウェブサイトに掲載されています。

ラリサ・デニセンコ（Larysa Denysenko）さんはジャーナリストであり弁護士であり人権活動家でありウクライナ女性弁護士協会「JurFem」共同設立者です。戦前、デニセンコさんと「JurFem」は主に法律専門職における女性のリーダーシップを援用し、家庭内暴力やジェンダーに基づく差別に関連する戦略的裁判の指導と支援を行ってきました。現在では、ウクライナでロシア軍が行ったとされる紛争関連の性的暴力を生き延びた人々の利益を代表する活動にも広がっています。

ジャーナリスト、弁護士、人権活動家、ウクライナ女性弁護士協会「JurFem」共同設立者のラリサ・デニセンコ（Larysa Denysenko）氏（ウクライナ・キエフにて）：写真 Olha Zakrevska

侵略の最初の数日間は、難民や国内避難民に手続きや必要書類などの法的アドバイスを行っていました。3月初旬になると、ケースの性質が大きく変わりました。女性も男性も、（多くは女性ですが）戦争の中で自分や身近な人が受けた性的暴力を報告するためにホットラインに電話をかけてくるようになったのです。

紛争に関連した性的暴力（CRSV）を含むあらゆる暴力は、力関係や支配に関わるものです。加害者は自分の力を誇示したい、優位に立ちたいと思うものです。それが、戦争や武力紛争中に性的暴力がよく見られる理由です。この侵略と不処罰の根源は、家庭内暴力にあるのです。したがって、イスタンブール条約の批准は、今日のこのような状況において極めて重要です。

女性のエージェンシー（行為主体性）を否定する女性や女児に対する暴力を、重要でないものとして放置しておくことはできません。また、メディア、公務員、活動家にとって、CRSVを受けた人々にさらなる被害を与えないよう、ジェンダーに配慮した報道の基準を守ることが極めて重要です。それは、再トラウマ化の観点からも、活発な戦争の状況下で命を救う重要性を持つ個人のアイデンティティを保護する観点からも極めて重要です。

どんな戦争も、非常に男性的なものです。努力の進展と持続可能性を確保するために、交渉代表団に女性を参加させなければなりません。民間人に対する誠実な行動の約束、女性や男性の捕虜に対する性的暴力（およびその脅威）の禁止は、関連文書に公式に記録されなければなりません。一時的に占領された地域から避難している、あるいは残っている女性、男性、子どもに対する性的暴力、脅迫は絶対に容認できません。

ウクライナ大統領や国防大臣が、しばしば「女性と男性の守護者」に言及することを歓迎します。これは、防衛活動における女性と男性の平等な貢献を認識する重要なメッセージです。今日、女性の声はより大きく聞こえるようになりましたが、私たちは女性への支援をやめてはいけません。女性の有意義な参加を確保するためには、まだやるべきことがたくさんあります。

現時点で達成されたジェンダー平等の成功を維持することが非常に重要です。私たちはバランスを保ち、誰も置き去りにしないようにしなければなりません。女性達はボランティアや医師として働いています。地元の企業を支え、ウクライナや海外の子どもたちや高齢の家族の教育や世話をしています。女性達は軍隊において、仲間の男性達と対等の条件で国を守っています。また、外交努力や情報、文化、その他の分野で働く女性たちの貢献も忘れてはなりません。」

UN Womenは、NGOの「JurFem」と提携し、「JurFem.Support」事業を立ち上げました。ウクライナにおけるCRSVの生存者を支援し、これらの犯罪を防止するための重要な要因である正義と説明責任を確保するための「JurFem: Support」です。この事業には、無料の法律相談やさらなる法的支援、CRSVの生存者の心理的支援などが含まれます。

本資料は、スウェーデン政府の資金提供によるUN Womenウクライナプロジェクト「ウクライナにおけるジェンダー平等達成のための変革的アプローチ」の一連の出版物の一部として、Wonderzine Ukraine mediaとのメディアパートナーシップの下で作成されました。