言葉を借りれば(In The Words Of):ニパ・ナーズリーさん

「私にとって嬉しい瞬間は、悲しい顔を嬉しい顔に変えることができたとき 」

日付: 2021年9月14日

バングラデシュの首都ダッカにあるタランゴ女性シェルターで、プログラムコーディネーターとして働いているニパ・ナーズリーさん。自身も暴力被害者としての過去を持つニパさんは、暴力被害を受けた女性や女の子たちのニーズを優先とした支援サービスとはどようなものなのかを熟知してます

 

タランゴの女性シェルターでニパさんは、暴力の被害に遭った女性や女の子たちのために安全で支えとなる環境を提供しています。写真提供:UN Women/Fahad Kaizer

 

ある日、少女が私たちのシェルターの扉を叩きました。のモラハラから逃れたい、と言うのです。少女は自分の母親の助けを求めたのですが、精神的な暴力は犯罪ではない、と言われたそうです何の書類も持たずに家を出た少女は、私たちのところにきました。被害届を出すために私は少女と一緒に警察署に行きましたが、届出は受理されませんでした。警察官は、被害届を出すには少女の夫か保護者からの許可が必要だと言うのです。受理するよう彼を説得しましたが、話を聞いてくれませんでした。


私たちは何も得られないまま、黙って警察署を後にしましたあの日、この世界に女性としての私の居場所はないと感じました。存在自体社会からかき消されてしまったように。私の胸の奥深く潜むあの日の苦い気持ちが、今日も私を駆り立てます。女性として、暴力の被害者として、自分が無価値だと感じること。そんなこともう絶対にあってはならないから。

 

私自身も暴力のサバイバーであり、シングルマザーです。そのことに対する社会からの偏見や非難のまなざしに苦しんでいたときは他の女性の苦しみに気がつきませんでした。女性に対する暴力がそんなに身近なことだったなんて。私のすぐまわりに数え切れないほどの女性が苦しんでいたなんて。

 

支援サービス提供するみなさん被害女性があなたのところに来たときのあなたの仕事は、その女性を安心させ、力を与えることです。書類が揃っていないからといって、うるさがらないでください。自分が厄介者であるなんて女性に思わせないでください。まず安心を与え、それから公式手続きに進めばいいのです。そして最大限の敬意を払い、共感する心をもって、彼女たちを支えてください。彼女が決めたことは、それがベストだと彼女が選んだこと。受け入れてください。あなたの思う解決策を彼女に押し付けないでください。

 

タランゴで私たちスタッフは、助けを求める女性の精神的な支えになります。危機を乗り越えるとき誰かがそばにいることが、どれだけ大きな意味を持つことか知っているからです。ここに来る女性の多くは地方から来た、公式教育を受けていない女性たちです。そんな女性にとって、弁護士に相談することは、たとえそれが無料だとしても、威圧を覚えます快適で安全な環境でそうした相談を行うことで女性は支えられていると感じるのです。

 

タランゴでは、護身術の訓練も行っています。空手の指導者であるジュイ先生は多くの被害者たちにとっての刺激であり、手本となっています。女性たちが初めて空手道着を身にまとった時のワクワクした目は忘れられません。私にとって嬉しい瞬間は、悲しい顔を嬉しい顔に変えることができたときです。

 

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新型コロナウイルスのパンデミックの最中日本政府の資金提供を受け、タランゴUN Women(国連女性機関)とのパートナーシップを通し暴力被害女性への必要不可欠な支援サービスと経済エンパワーメントのための支援サービスを組み合わせた、新しいシェルターモデルを展開しました

暴力を経験している女性や女の子たちに、包括的で質の高いサービスを提供するためのガイドラインであるエッセンシャル・サービスパッケージを取り入れたタランゴの女性シェルターの成功と学びに基づき、UN Womenは統合シェルターモデルのツールキットを作成し、バングラデシュ全国のシェルターで展開していきます 。これは、UN Womenが取り組んでいる、女性と女の子たちに対する暴力における必要不可欠な支援サービスの一環です