言葉を借りれば(In the words of):イスラム・ロメラさん
「初めて車のハンドルを握ったとき、ついに自分の人生のハンドルを握った気がしました」日付:
新型コロナウイルスのパンデミックの最中、イスラム・ロメラさん(仮名)は 暴力を振るう夫から逃れ、 子どもと共にタランゴの女性シェルターに来ました。タランゴの女性シェルターでは、200人の女性や女の子たちが一時的な宿泊施設の利用、医療および法的支援、心理社会的カウンセリング、資金運営や職業訓練などの支援サービスを受けています。
バングラデシュの首都ダッカの路地で運転の練習をするイスラム・ロメラさん。写真UN Women/Fahad Kaizer
私は子供のころから車の運転に憧れていました。でもいつか自分が、なんて夢みる勇気もありませんでした。
私は高校を出てすぐ結婚しました。夫は残酷な人で、私に頻繁に暴力を振るいました。妊娠していたときにげんこつで殴られ、お腹にいた赤ちゃんは流れてしまいました。泣きつかれて寝入る日々でした。いつも死ぬことを考えていました。希望はどこにもなかったから。そんな私を見かねた兄が、私をタランゴに連れて行きました。初めて女性シェルターに着き、私はひどく怯えていたのを覚えています。次はなにが私を待ち構えているの?良いこと?それとも、また別の辛いこと?、と。
安全な場所で三回の食事を取れることは嬉しいことでした。でもそれよりも嬉しかったことは、職業訓練の一環として、シェルターで自動車教習が受けられるって知ったことでした。私が人生で初めて目にした女性運転手は、私のインストラクターでした。彼女は私を魅了し、私の師となりました。彼女は私に、前へ進み、私の人生の新しい章を自分で書くことを教えてくれたのです。
初めて車のハンドルを握ったとき、ついに自分の人生のハンドルを握った気がしました。兄は、私がこんなとっぴなスキルをここで学んでいるなんて知りません。きっと、最初は怒ると思うけど、私が運転手として収入を得ることができるって知ったら、きっと喜んでくれるだろうと思います。
私はいつも他の人から、どんな格好をするか、どこに行くか、どうやって生きるか、命じられて生きてきました。でも今はわかります。選択権はいつでも私の手のうちにあるって。もしあなたが昔の私を知っていたなら、今の私を見ても同じ人物だと気がつかないと思います。私の人生はずっと楽しいものになって、これからの人生にワクワクしているんです。
記事の本文(英語)はこちら
******************************************************************************
新型コロナウイルスのパンデミックの最中、日本政府の資金提供を受け、タランゴはUN Women(国連女性機関)とのパートナーシップを通し、暴力被害女性への必要不可欠な支援サービスと経済エンパワーメントのための支援サービスを組み合わせた、新しいシェルターモデルを展開しました。
暴力を経験している女性や女の子たちに、包括的で質の高いサービスを提供するためのガイドラインであるエッセンシャル・サービス・パッケージを取り入れたタランゴの女性シェルターの成功と学びに基づき、UN Womenは統合シェルターモデルのツールキットを作成し、バングラデシュ全国のシェルターで展開していきます 。これは、UN Womenが取り組んでいる、女性と女の子たちに対する暴力における必要不可欠な支援サービスの一環です。